「ウクライナ侵略を考える~『大国』の視線を超えて」著者、加藤直樹氏に聞く(3)ウクライナ市民への想像力を
でも、地球の反対側で日々侵略の被害を受け、それに対して悩み、考え、選択しているウクライナの人びとへの想像力ももってほしいと思います。もちろんウクライナでも現実は複雑です。人びとの思いも多様であり、一枚岩ではないでしょう。志願して前線に行く人もいれば、徴兵を逃れて国境を超える人もいる。だけど、現実が複雑じゃない国がどこにあるでしょうか。歴史だって常に複雑です。 ただ、複雑な現実を直視するということは、「どっちもどっち」とか「それぞれに正義がある」とか「本当のことは分からない」といった判断放棄とは違います。複雑な現実に、理念や原則をもって向き合うべきだということです。特に左派系、リベラル系の知識人には、岸田政権なりアメリカなりをきちんと批判しながら、同時にロシアの侵略に怒り、ウクライナの選択を尊重するという二枚腰で踏ん張ってほしかった。それでこそ、より高次なビジョンを示すことができたはずです。
まずは私たちとは異なる現実を生きる主体としてのウクライナの人びとについて想像し、敬意をもって向き合ってほしいと思います。
****************************************** ■6月29日に東京で『ウクライナ侵略を考える 「大国」の視線を超えて』(あけび書房)の著者、加藤直樹氏の出版記念講演会が開催される 「ウクライナ侵略を考える 「大国」の視線を超えて」 日 時 6月29日(土)14:00~16:00(開場13:30) 会 場 専修大学神田キャンパス10号館5階10051教室 地下鉄神保町駅A2出口3分/地下鉄九段下駅5出口1分/JR水道橋駅西口7分 オンライン(ZOOM)は事前申し込み(Peatix) https://ukrainewar.peatix.com 講 師 加藤直樹さん 資料代 1000円 共 催 あけび書房 お問い合わせ先 civilesocietyforum@gmail.com ****************************************** インタビュー第4回につづく (全4回) 【加藤直樹(かとう なおき)】 1967年東京都生まれ。出版社勤務を経てフリーランスに。著書に『TRICK「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから)、 『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社)など。
【写真】加藤直樹氏の近著『ウクライナ侵略を考える 「大国」の視線を超えて』(2024年4月刊・あけび書房)。