「超おトクに空港でぜいたくし放題だった“神カード”」が衝撃の改悪!? それでもおすすめな理由は?
ほかのカード特典も「サービス縮小」可能性アリ?
ほぼ満席の店内で客数の半分以上を占めていた日本人のうち、少なくない人数がクレジットカード付帯のプライオリティ・パスの利用であろうことを考えると、「無料でレストランが使えるサービスをずっと続けるのは難しいのではないか」というのが、当時の素直な感想でした。 一方、同じくプライオリティ・パスが付帯する上位クラスのカード(セゾン・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード、セゾン・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードに無料付帯、セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カードに年会費1万1000円で付帯)を発行するクレディセゾンは、2024年10月14日現在、サービス内容の変更について何らアナウンスをしていません。 ただクレディセゾンのこれらのカードは「リーズナブルなプライオリティ・パス付帯カード」として人気が高かったことから、三菱UFJニコスやJCBと同様の変更が行われても、不思議ではないと思われます。 ところで、こうしたサービス内容変更を「改悪」と一面的にとらえるのは、正しい考え方でしょうか。
「サービス縮小」でもまだまだある「最強カード」のメリット
プライオリティ・パスにより海外の空港で使えるラウンジは、“ドリンクバーがある待合室”と言うべき国内空港のカードラウンジとは異なり、ビュッフェ形式ながら温かい料理があるほかアルコールも無料で、さらにシャワーが使えるところもあります。また空港によっては、一部の航空会社のラウンジも利用可能となっています。 こうしたラウンジの利用は、長旅の合間のリフレッシュ、さらには十分な作業スペースを使ってのノマドワークなど、タイパ(タイムパフォーマンス)の向上に欠かせません。 そして重要視したいのが、セキュリティです。海外の空港において乗り継ぎなどで待ち時間が長くなるとき、出発ロビーや通路に設けられたベンチで時間をつぶすのは、置き引きやスリへの注意が欠かせません。一人旅のときは、とりわけ神経を使います。 そうした不特定多数が行き交う外のベンチに比べると、ラウンジの安全度は(もちろん100%ではありませんが)格段に上であることは言うまでもありません。 今回のサービス内容変更について、三菱UFJニコスは公式サイトで「昨今、空港における飲食店舗やリフレッシュ施設等でのプライオリティ・パスのご利用が大変増加しております。それに伴い、本サービスに関連するコストが増加しており、本サービス自体のご提供を続けることができなくなるおそれがございます」と説明しています。 つまり運用コストの上昇に対し、プライオリティ・パスの有償化や付帯中止ではなく、サービス内容変更にとどめたというのは、海外の空港での乗り継ぎなどで“本来、ラウンジを必要としている利用者”にとっては「仕方ないけれども、納得できる範囲の見直し」とも言えるのではないでしょうか。 コロナ禍後の航空運賃の値上がりに加え、たとえばJAL(日本航空)では2024年にステイタス制度の見直しをしたことなどで、短期のマイル修行で上級会員になる道はほぼ閉ざされました。航空券そのものの値上がりもあり、航空会社の上級会員へのステップアップも年を追うごとに難しくなっている状況です。そのようななか、海外空港のラウンジを無料で使えるサービスの価値は、ますます高くなっています。 もしクレディセゾンがプライオリティ・パスのサービス内容を変更したとしても、先行した三菱UFJニコス、JCBと同じく「空港ラウンジのみ」にとどまるのであれば、加入を検討する理由は十分にあると思われます。
植村祐介(ライター&プランナー)