SNS詐欺5400万円被害 金沢の80代男性、ロマンス
●投資名目「アンナ」名乗る 総額6億円超 ●今年、29日時点 金沢西署は29日、金沢市の80代男性が、交流サイト(SNS)を悪用したロマンス詐欺被害に遭い、現金5400万円をだまし取られたと発表した。石川県警が統計を取り始めた2023年1月以降、県内で確認されたSNS型詐欺の被害額としては最大。このほか、同様の手口で40~70代の男女3人=いずれも金沢市内在住=が現金を詐取されていたことが分かり、県内の今年の被害総額は29日時点で6億円超となった。 ●40~70代の3人も190万~690万円 SNS型詐欺は、恋愛感情などを抱かせる「ロマンス詐欺」と、ネット上の広告などから投資グループに誘われる「投資詐欺」に大別される。県警は、80代、70代、40代の男性はロマンス詐欺被害、40代女性は投資詐欺被害に分類した。 ●「娘のようにいとおしく」 金沢西署によると、80代男性は7月14日、海外に住むとされる「アンナ」と名乗る人物と、SNSを通じて知り合った。毎日のようにSNSで連絡を取るうちに、男性はアンナを「娘のようにいとおしく」感じるようになったという。 7月下旬、「アンナ」から金の投資を勧められ、男性は8月2日、市内の銀行窓口から指定口座に400万円を振り込んだ。投資アプリ上では利益が出ており、15日には5千万円を振り込んだ。銀行に迎えに来た親族と相談し、西署に届け出た。振り込む際、行員に事業資金だと説明するよう指示があったという。 このほか、70代男性はSNSで知り合った女性に「為替取引の管理を手伝ってほしい。利益が出たので謝礼として10万ドルを振り込んだ」と言われ、出金手数料名目などで現金約690万円をだまし取られた。40代男性もSNS上で女性にネットショッピングの経営を勧められ、商品の仕入れ代金として現金約190万円を指定口座に振り込み、出金できなくなった。 一方、40代女性は「短時間で利益が出る」との投資話を信じ、現金660万円を失った。 29日に詐欺被害が明らかになった4件はいずれも、ダウンロードさせられた投資アプリや専用サイト上では利益が出ているように表示されていた。80代男性を除く3件は、インターネットバンキングを利用し、指定された口座に振り込んでいた。 今年に入り、県警が確認したSNS型詐欺による被害総額は、29日現在で少なくとも約6億3800万円となり、昨年1年間の被害額(約1億8800万円)の3倍超となった。