「香りまで意識」「今でもついガニ股に」元宝塚トップスター・凰稀かなめさんの現役時代|美ST
退団後もさまざまなフィールドで活躍し、輝き続ける宝塚OG。その美しさの秘密を、宝塚仕込みの“素化粧”から紐解きます。今回は、媚びないクールな佇まいがファンを魅了し続けた元宙組トップスター凰稀かなめさん。変わらないスタイルを保つ秘訣や休日の過ごし方を伺いました。
舞台はお客様とのセッション。香りも役の一部だと考えていました
お話を伺ったのは……凰稀かなめさん 《Profile》 神奈川県出身。2000年に宝塚歌劇団86期生として入団、雪組に配属。早い頃から抜群のスタイルと演技力が注目を集め、新人公演、バウ公演で主演を重ねる。2009年に星組へ、2011年に宙組へ2番手として組替え後、翌年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』でトップスターに。『風と共に去りぬ』、『べルサイユのばら』など名作への出演が続く。2015年退団後は、舞台の他ドラマ、映画など幅広く活躍。2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」にも出演。
―宝塚時代から変わらない抜群のスタイルを保つためにされていることはありますか? 宝塚を卒業した直後はガリガリで、女優として舞台に立つには細すぎたのでとりあえず肉をつけようと。そこから体のラインを修正していくために今は定期的にファスティングをしています。準備期、回復期を含め1週間を基本に。かなりつらいんですが、デトックス効果がすごくて、むくみがすっきりとれるので私には合ってるんだと思います。あとはKONDRIというサプリを飲み始めてから、生理の前後の肌あれがなくなりました。 ―女性の感覚を取り戻すのは大変でしたか? ガニ股で歩いちゃうのは直らないですね(笑)。宝塚時代はつけていなかった女性もののブラを買ってみるとか普通の女性がしていることから始めて、声の出し方を変えるために声楽のレッスンを受けたり。でも髪だけは伸ばせなかった。今の長さが限界ですね。寝ているときも顔に髪がかかるとびっくりして起きちゃうんですよ(笑)。 ―舞台に立つときは常に観客目線を意識されていたそうですね。 劇場では必ず2階席から舞台までの距離を見て、メイクの濃さを決めてました。稽古の段階からこの人だったらこういう香水をつけるのでは、と考えるところから役作りをしていたんです。その香りを客席にも届けたくて、手の平、髪の毛、そして銀橋を通るときのために靴のヒールの裏にも香水をかけていました。舞台はお客様とのセッションみたいなもの。香りって記憶に残るじゃないですか。その香りをかいだときに作品の記憶がよみがえるといいなと思って。でも役作りで一番大切なのはやはり本を読み込むこと。それは映像の仕事においても同じですね。 ―転機になった宝塚作品を一つ挙げるとしたら? うーん。どの作品も引き出しを増やしてくれたけれど、男役を極めていきたいと思えたのはやはり『風と共に去りぬ』のレット・バトラーかな。一番大きな挑戦で、なかなかたどり着けず苦しかった。通し稽古の前日に、ようやくこの役のために用意していた香水をつけることができて、先生にもやっとできたな、と言っていただけて。この感覚なんだと思えた瞬間でした。 ―お休みの日はどんな風に過ごされていますか? 趣味もあまりなくて、家が好きなので下手すると一歩も外に出ないです。もともと本当に社交が苦手なんですよ。そのぶんお芝居で発散している感じ。いただいた役の自分とは違ういろいろな人生を演じているときのほうがラクかもしれないです。 ―最後に凰稀さんにとって「美しく生きるとは」? ありのままに生きられたらどんなにラクだろうって。でも全部自分の思うままに生きていたらたぶんダメ人間になってしまう。そこをちゃんと踏まえて、気合いを入れなくてはいけないときはちゃんとスイッチを入れられる。それができるのが美しい生き方かなと。そのためにも、ありのままの自分でいられる時間を持っていたいなと思っています。