9月24日午前8時すぎ、東京・伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震があり、一時、伊豆諸島と小笠原諸島に津波注意報が発表されました。八丈島では50センチの津波が観測され島民が警戒感を高めたほか、島しょ部への交通にも影響が出ました。 24日午前8時14分ごろ、鳥島近海を震源とするマグニチュード5.8の地震が発生し、気象庁は伊豆諸島と小笠原諸島に津波注意報を発表しました。八丈島八重根で午前8時58分に50センチの津波を観測したほか、神津島で20センチ、伊豆大島と三宅島でそれぞれ10センチの津波を観測しました。 午前9時ごろ、八丈島では八重根港の湾の中に流れ込んだ津波とみられる映像が捉えられていました。また、港近くの幹線道路を車で走行していて、津波を目撃した八丈島でダイビングショップを営む男性は当時の様子について「穏やかな場所に奥から水が思いっ切り流入してくるような、少し渦を巻いているように水が入ってきているということと、通常と海の色が確実に違ったので、上からぱっと見て『津波が来ている』というのが分かった」と証言しました。 その後、午前11時に津波注意報は解除され、各地で被害は確認されていないということです。 津波注意報の発表は島しょ部の交通に影響しました。午前8時半ごろ、伊豆諸島へ向けて竹芝客船ターミナルを出発したフェリーが港に引き返したほか、午前の4便が欠航しました。しかし午前中は津波注意報の影響で欠航となっていた船便も、注意報の解除を受け、午後は無事運航されました。竹芝からこれから出発するという人は「仕事もあったので、取りあえずは帰れて一安心」「（キャンセルも）考えたが　友達が向こうにいるので変更した。何事もなければいい」などと話していました。東海汽船によりますと、約300人の乗客に影響が出たということです。 今回、伊豆諸島の鳥島近海を震源として発生した地震について、その原因を東海大学・静岡県立大学の長尾年恭客員教授は「（今回の）津波注意報の地震は明らかに火山活動が原因」だと指摘します。今回の地震の震源に近い「須美寿島」の周辺では19日に海底火山の影響とみられる海面の変色が見つかっています。長尾客員教授は「鳥島、須美寿島だけでなく、伊豆・小笠原列島沿いで非常に活発な火山活動が続いている」といいます。 また今回の地震はマグニチュード5.8と規模が大きくなく、震度1以上の揺れは観測されていません。こうした揺れを感じない地震による津波は避難などが遅れるとして、今後の地震への警鐘を鳴らしています。長尾客員教授は「あまり体に感じない地震で津波注意報が出るというのは、例えば海岸にいる人は気が付かない可能性がある。1週間ぐらいは注意が必要かもしれない。今朝に続いて、まだ地震が起きる可能性は十分にある」と話しています。