舛添都知事、あらゆる疑惑に「公平公正な第三者の目で」 説明を先送り
政治資金の使用実態をめぐる「公私混同」ぶりが次々に露見している東京都の舛添要一知事。私的流用問題の再釈明の場として5月20日、都庁で記者会見を開き、疑惑の数々に関する調査を複数の弁護士による「第三者の目」にゆだねる意向を明らかにした。疑惑をめぐる記者からの質問には「弁護士による『第三者の目』を通した調査結果を待ちたい」として明確な回答をすべて拒んだ。 【写真】舛添都知事「公金への鈍感さが問われている」と弁解(5月13日) ただ現時点では知事自らが弁護士らに調査担当を打診している段階で、知事が言う「厳しく公平公正」な「第三者の目」の実態はない。弁護士が調査を受諾した際に名前などを公表するか否かについても明言されることはなかった。
今は仕事で信頼回復を果たしたい
「大変なご心配とご迷惑をおかけしています」――。会見の冒頭、舛添知事は深々と何度も頭を下げた。千葉県のホテル宿泊代金などを資金管理団体から支出していた問題などを追及された13日の釈明会見と比べ、声も沈みがちだった。 それもそのはず、この間に浮上した政治資金の支出先などに絡む知事の疑惑は大小を合わせれば五指に余る。 主なものでは、(1)知事が代表の政治団体が購入した車2台のうち、1台は神奈川県の別荘で使用する目的だった疑い、(2)2012年以降、知事の政治団体から知事の妻が代表を務める「舛添政治経済研究所」に3年間で1600万円が支出されており、政治資金がファミリー企業に還流する仕組みがつくられていた疑い、(3)都知事選の直前、知事が代表だった政党支部が自身の資金管理団体に約530万円を寄付。政党支部は解散直前で、知事の資金管理団体がそのうち約430万円を占める政党交付金を駆け込み的に手にした疑い、(4)知事の政治団体が「資料代」としてインターネットオークションなどを通じて美術品購入に充てた疑い―― などが挙げられる。 会見では、こうした疑惑をめぐる質問に対し、「今は都民の信頼を失っているので、まずは厳しい第三者の目で調べてもらってから」「誰が見ても公平公正な第三者の調査結果を待ってから」と何度も繰り返して、政治資金の私的流用問題への説明を先送りした。 構成メンバーは未定ながらも「第三者の目」は、知事によると早ければ週明けから調査に動き出すという。「6月議会に迷惑がかからないよう、出来るだけ早く調べてもらい結果を出したい」と述べた。 別荘への公用車使用、高額出張旅費などが問題視されてからこれまで、都に寄せられた知事への苦情は1万2000件超に上る。辞任の意向については「すべては調査の結果を待ちたい。今は全身全霊をかけて良い仕事をして信頼回復を果たしたい」と語った。 (フリー記者・本間誠也)