『GIRLFRIEND』で初共演の井澤巧麻と木原瑠生、 「二人ミュージカル」に向けてコンビネーション良好!
“あの頃”を思い出す、繊細で愛おしい青春物語
――では作品に関してお伺いします。90年代のアメリカ、ネブラスカ州を舞台にした青春物語ですが、物語に関してはどんな印象を抱いていますか。 井澤 繊細な物語だと思います。男の子同士の恋愛で、時代的には今ほどそれが受け入れられていないだろうし、だからこそお互い気持ちはわかっていても言い出せなくて……。派手な事件が起きたり、激しいアクションがあったりする作品じゃないけれど、ふたりの心の距離といった細かいものを表現していくことが求められる作品だなと感じています。 木原 おっしゃる通りです。純粋さから繊細な気持ちが生まれ、そこから喜怒哀楽が出てくる。まっすぐに生きている人たちの話だと思います。僕も自分の中高生の頃を思い出して、思いを伝えられない葛藤とか、もどかしさみたいなものはよくわかる……。 井澤 確かに、マイクの言動に一喜一憂するウィルの気持ちは、僕もそういうことはあったなと共感するポイントです。学校で好きな子と一言話せただけで一日ハッピーだったり、逆に冷たい態度をとられてふさぎ込んじゃったりとか。“あの頃”の甘酸っぱさを思い出して、懐かしく思った。今の僕から見ると「ウィル可愛いな、ピュアだな」と思うのですが(笑)。 ――それぞれウィル、マイクを演じるにあたり、大切にしたいポイントは? 木原 まだ手探り状態なのですが、先ほども話に出た“陽キャ”の人って、友だちもたくさんいると思うんです。そんな人が“大切なひとつ”を見つけた時はかなりシビアになる気がする。その感情は大事にしたいかな。 井澤 ウィルはいじめられていた過去もあり、繊細なところがある。その中でも前に進んで行きたいという気持ちがある人物です。マイクのように将来医者になるんだろうなとか、大学に行くといったはっきりした目標はなくとも「何かになりたい」と思い、あるいは「マイクにもっと近付きたい」といった気持ちを持ってるところがすごく愛おしい。お客さんが観ても応援したくなるような愛すべきウィルを作っていけたらと思います。 ――物語としては、マイクが最初にアプローチしてきますよね。ウィルはマイクが近付いてくるまで彼を意識していなかった? それとももともと気になる存在だった? 井澤 マイクは学校一の人気者なので、現実的にどうこうしたいとは思っていないけれど、アイドルを見ているような気持ちはあったんじゃないかなと思います。そのアイドルが急に近付いてきたから舞い上がっちゃった。積極的に意識はしていないけれど、憧れの存在ではあったと思います。 ――音楽の印象はどうでしょうか。90年代アメリカのパワーポップシーンを牽引していたマシュー・スウィートのアルバムを使ったミュージカルですが。 井澤 “あの頃”を思い出すような懐かしさもあり、元気になれる曲が多いです。脚本の切ないところに、明るい曲が入ることでコントラストが生まれたりも。ミュージカルってセリフが歌になることが多いですが、今回は曲がまずあって、そこに脚本が添えられた形になってる。この歌詞とこの気持ちがマッチするんだ、というのが自然で違和感がなく、面白いです。 木原 歌っていても演じていても楽しいです。アップテンポな曲はノリが良く、バラードは入り込んで歌える。ただ、歌うのはちょっと大変な部分もある……。 井澤 もともと英語で浸透しているものを日本語にしているから、そこがね。音数が合わなかったりするし。特にリズムは難しいよね。 木原 そうなんですよ。日本語になると、なんならメロディすら原曲と違って聞こえちゃう。もうそこは「今回は今回!」と割り切ってやる形になるのかな。ただ、稽古を重ねていったら楽しくできるようになるんじゃないかな、という予感はします!