【解説】政治資金規正法改正へ…大幅譲歩で反発も 岸田首相“決着”のウラ側【バンキシャ!】
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自民党の裏金事件に端を発した「政治とカネ」の問題で、政治資金規正法の改正をめぐる動きの中、岸田首相は公明党や日本維新の会に譲歩した形で決着をつけました。その裏側で起きていたこととは…。政治部の平本典昭キャップが解説します。【バンキシャ!】 ◇ (桝太一キャスター) 政治資金規正法の改正をめぐっては、二転三転したようですが、その裏側について、ここからは政治部・官邸キャップの平本さんに聞きます。 岸田首相が公明党や日本維新の会に大幅に譲歩した形で決着がついたとみえるわけですが、その裏側では何が起きていたんですか。 (平本記者) 裏側で起きていたのは2つの勢力の対立だと思います。自民党の麻生副総裁と茂木幹事長、それから公明党、日本維新の会です。 自民党案では、パーティー券購入者の公開基準は「10万円超」。政策活動費は使用した年月の記載を主張していましたが、公明党は公開基準を「5万円超」に引き下げること、維新は政策活動費の「領収書の公開」を求めていました。 結果、岸田首相は自民党側ではなく公明党、維新側の主張を受け入れたわけですが、実は政権中枢で岸田首相を支える麻生副総裁、茂木幹事長は強く反対していたんです。 決断の直前まで、公明党、維新には譲らないように岸田首相を説得していたようなんです。それを今回、押し切る形で岸田首相が決断をしたわけです。 岸田首相は周辺に「公明党を切ったら政権が持たなかった」と理由を説明しています。 (桝) 麻生さん茂木さんとしては、不満が残りますよね。 (平本記者) 残ると思います。茂木幹事長の側近議員によりますと、岸田首相に「あきれていた」といった態度のようなんです。さらに、麻生副総裁は(政権を支える)キーマンですから決断の裏側で入ったヒビで、これまで通りの協力を得られなくなる可能性があると思います。 (桝) 自民党全体としてはどうなんでしょうか。 (平本記者) 全体としても(ほかの議員の)不満はたまりまくっているとみています。大きいのは、“岸田スタイル”のリーダーシップへの反発です。土壇場で、サプライズで結論をひっくり返す手法が相次いでいるんですね。 自民党議員からは、具体的には「独裁だ」「勝手すぎる」という声を多く聞きます。その理由は、決断に「説得力」と「納得感」がないからだとみています。十分な説明もなく、突然の決断で、党内で下から積み上げたものをひっくり返す手法への不満が鬱積しています。 (桝) 強引にやってきた結果こういった空気で、自民党内は大丈夫なんでしょうか? (平本記者) 岸田首相の頭にあるのは「9月の総裁選での勝利」ですけれども、今回の決断で、ある自民党ベテラン議員は「党内の反岸田、憎悪は増える」との指摘です。支持基盤がガタガタになる中で、政権運営の厳しさは増していると思います。 *6月2日放送『真相報道バンキシャ!』より