「あなたには子どもがいますか?」「もし自分だったらと想像できますか?」...ロシア当局に身体拘束されたジャーナリストが捜査員に語った戦争の悲惨さ
もしあなたがその立場なら...?
「わかりますか」わたしは捜査官に話した。「わたしは死んだウクライナの子供の写真をパネルに貼る時、涙が止まりませんでした。戦争が始まってすぐ、たまたまCNNで見たセルゲイという人のインタビューは一生忘れません。セルゲイはCNNのキャスター、エリン・バーネットに、イルペンで、妻も2人の子供もみんな失くしたと言っていました。キャスターは泣いていました。わたしも見ていて嗚咽しました。セルゲイの息子と娘はちょうどわたしの子供たちと同じ年頃でした。あなたには子供がいますか? もし自分がセルゲイの立場だったらって想像できますか?」 捜査官は目を伏せた。取調室を重苦しい沈黙が支配した。部屋の隅に座る過激派対策センターのシニカルな係官も2人の警官も黙っていた。 訊問の後、護衛官がわたしを取調委員会の中庭に連れていった。囚人護送車が来た。手錠をはめられた。 「あなたの連行先はペトロフカの留置所です」ザフヴァトフ弁護士が駆けつけて出発間際に叫んだ。 『「絶対的な悪の勝ち誇る国」と化したロシアで、正義を掲げて行動したジャーナリストが迎えた「皮肉すぎる末路」』へ続く
マリーナ・オフシャンニコワ
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