トレードが積極的な時代に。私も日本ハムから阪神へのトレードが決まりかけていた【張本勲の喝!!】
驚いた世紀のトレード
75年オフに日本ハムを出ることになった筆者。トレード先は阪神だったが……
例年なら9月を迎えるとペナントレースも終盤に入り、優勝争いも見えてくるころだが、今年はまだ後半戦がスタートしたばかりだ。一般的に3ゲーム差を縮めるには1カ月かかると言われるが、勝負事は最後まで何が起こるか分からない。独走して首位に立つチームはチームで、2位と大差が開こうと不安なものである。過去に独走していたチームが大逆転されて優勝を逃したケースは珍しくない。最近では2008年の阪神だろう。一時は2位に13ゲーム差をつけながら、最後は巨人に優勝をさらわれた。どのチームも優勝の可能性がゼロになるまで決してあきらめないことだ。 例年だとトレード期限は7月末だが、今年は開幕が大幅に遅れたことで9月末になった。シーズンが始まってすでに巨人と楽天が2度のトレードを積極的に行っているが、どのチームも戦力補強は後半戦に向けて大きなポイントだろう。 トレードと聞いてあらためて思うのは、現在のトレードは昔とまったくイメージが変わってしまったということだ。われわれの現役時代はトレードと言うと、チームから要らなくなったから出されるという負のイメージが強かった。どんな球団であれ、一つのチームで選手生命をまっとうするのが良しとされていた。終身雇用という時代背景も大きかったかも分からない。だが、今は違う。出番がないのなら、選手はチャンスを求めて喜んでチームを出て行く。 昔は大物選手のトレードが多かった。実力はあるのにチームから出されるというのは、球団上層部の背広組、また首脳陣とソリが合わないからだ。力はあるが扱いづらい選手ということだ。人間関係というのは一度崩れてしまうと簡単には戻せない。チームを出される選手には何かしら心当たりがあったものだ。 私が一番驚いたトレードは・・・
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週刊ベースボール