なぜ今? 伊で発表『ジーグ対グレンダイザー』 実は半世紀前にも「幻の企画」が!
気になる劇場版の内容は「東映まんがまつり」の「黄金パターン」!
幻の企画である『UFOロボ グレンダイザー対鋼鉄ジーグ』での敵は「ダムドム星人」、TV版『グレンダイザー』の敵である「ベガ星連合軍」と敵対している宇宙人です。この設定を生かしたマンガ『ダイナミックヒーローズ』(原作:永井豪/著:越智一裕とダイナミックプロ)では、東映まんがまつりでおなじみの「ギルギルガン」や「ピクドロン」を操っていた宇宙人とされていました。 このダムドム星人が、ベガ星連合軍さえ苦戦させるグレンダイザーの奪取をもくろみ、地球へとやって来るところから物語は始まります。そのころ、『グレンダイザー』主人公、「宇門大介」こと「デュークフリード」が働くシラカバ牧場の近くでは、一大自動車レースが開催されようとしていました。このレースに参加していたのが、『鋼鉄ジーグ』の主人公「司馬宙(しばひろし)」です。 レースの開催を快く思っていなかった大介は、宙と対立しました。その間に牧場の娘「牧葉ひかる」はダムドム星人に誘拐され、争いは中断、大介はダムドム星人の指定された場所に単独で向かいます。 大介を亡き者にしてグレンダイザーを奪おうとするダムドム星人、この危機に駆けつけたのが、大介をタダ者でないと思って後を付けていた宙でした。宙は「ビッグシューター」を呼んで「鋼鉄ジーグ」になると、ダムドム星人の中型ロボット軍団と戦いを開始します。 一方の大介はひかる救出をジーグに任せ、ダムドム星人の送り込んだ大型宇宙獣に襲われていた宇宙科学研究所を救うべく、奪われかけていたグレンダイザーに飛び乗って反撃に出ました。この二大スーパーロボットの奮闘でダムドム星人は全滅、ラストはレースに出場する宙を応援する大介、となっています。 初めて会った主人公同士の争いから共闘に結び付くという、東映まんがまつり黄金パターンの企画でした。このクロスオーバーが何らかの形で中止となり、代わって『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』が公開されたようです。こちらの作品もそれまでになかったパターンの作品だっただけに、どちらが良かったかは甲乙つけがたいといえるでしょう。 ちなみに、この後の東映まんがまつりで公開された『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣』の企画段階では、『デビルマン』『ドロロンえん魔くん』『キューティーハニー』との共演も企画されていたという証言があります。 もしも実現されていれば、まさに「スーパーダイナミック大戦」というべき作品になっていたことでしょう。この話から推測すれば、本編に登場した敵「古代海獣ドラゴノザウルス」が、どこか妖怪や化物的なテイストを持っていた点も腑に落ちます。 このほかにも、企画段階で終わった東映まんがまつりのクロスオーバー作品はいくつかありました。筆者が知る限りでも『SF西遊記スタージンガー対惑星ロボ ダンガードA』『ジャッカー電撃隊対大鉄人17』といった作品があったそうです。タイトルを聞いただけでも夢が膨らむ展開が予想できるでしょう。 そう考えれば今回、イタリアで発表された『鋼鉄ジーグ対UFOロボ グレンダイザー』には期待しかありません。子供の頃に夢見たヒーローの共闘が、半世紀の時を経て観られるのは、往年のファンにとっては幸せというものです。
加々美利治