鹿捕獲にドローン 猟犬の鳴き声で追い出し 岡山県実証
導入に向けGPSで行動分析も
岡山県は、県内で生息域が拡大する鹿の捕獲対策として、追い出し役の猟犬が鳴く音声などを搭載したドローンを使った実証試験に乗り出した。試験では、衛星利用測位システム(GPS)を活用した首輪を鹿に付け、追い出された際に逃げる経路なども把握。中山間地域で効率的に捕獲できる先進技術として農作物の被害防止につなげ、2026年度の本格運用を目指す。 【画像】猟犬が鳴く音声などを搭載したドローン 鹿の捕獲には通常、複数人の狩猟者が山に入り、猟犬を放って追い込む「巻き狩り」という手法が使われる。猟犬の代わりにドローンを使って、猟銃を持って待ち伏せする猟師がいる場所まで追い込んで、作業の省力化につなげる。 実証試験は昨年12月に県北部の鏡野町で2回実施し、ドローンの操作方法や狙った方向に鹿を追い出せるかなどを確かめた。操縦者から機体が見える上空90メートルの位置で、1日当たり平均5、6回(1回平均20分)ゆっくり飛ばした。猟犬の鳴き声は、ドローンに載せた高出力のスピーカーを通じて再生した。 野生の雄鹿1頭にGPSを搭載した首輪を付け、鹿の行動の軌跡などを分析。首輪は実証試験の前後1カ月にも付け、試験でドローンを飛ばした際に取った行動と比較する。
猟犬の代わりに作業の省力化
ドローンを飛ばす条件は鹿の真上で飛ばしたり、追い込みたい方向に猟犬の鳴き声を流したりするなど、さまざまな条件を試した。今後の実証試験では、銃の発砲音や鹿自体が警戒する時に発する鳴き声なども検討する。 県は本年度予算で、約300万円を盛り込み、実証試験で幅広くデータ収集を進める。試験を委託する野生鳥獣対策連携センターは「猟師の高齢化や担い手不足が深刻化する中、省力化につながる技術として広げていきたい」と話した。 運用に向けた課題は、高度など地域によってドローンを飛ばす条件が異なること。県鳥獣害対策室は「最新技術を活用して被害を減らしていきたい」と力を込める。(西野大暉)
日本農業新聞