未来の太陽光発電は建物やスマホに吹き付けるだけで実現する
太陽光発電のさらなるコスト減に貢献
太陽光発電のコストは、2010年と比較して世界平均で約90%安くなっているそう。すでに化石燃料火力発電や原子力発電よりも安いんですよね。研究チームは、彼らの開発した技術が太陽光発電のコストをさらに下げ続け、再エネの中で最も持続可能な電源になると信じているようです。 風力発電と太陽光発電の普及に伴って、再エネの発電コストが下がってきたように、同じ太陽光発電でも、ペロブスカイト式太陽光発電が普及すれば、シリコン製を含め太陽光発電全体のコストも下がると予想されます。
問題は安定性と耐久性
あらゆるものの表面に塗布できて、コストも安いペロブスカイト太陽電池。万能過ぎてすぐにでも普及させてくれと願うところではありますが、まだ課題は残っているといいます。 大規模な実用化の障壁は、安定性と耐久性に根強い問題があること。実験段階では、短期間で劣化や破損がみられるなど、既存のシリコン製太陽光パネルよりも耐久性が低いため、研究チームは改善に取り組んでいます。 主任研究員のHenry Snaith氏は、新技術の可能性について、以下のように述べています。 研究で実証された最新の太陽電池素材と技術の画期的進化は、既存の建物や自動車、物などへの利用を通じて、より持続可能で安価な太陽光エネルギーを提供する新しい産業の礎となる可能性を秘めています。 Snaith氏はペロブスカイト太陽光パネルの商業化を目指して2010年にオックスフォードPVを共同設立し、現在は公益事業や建築、自動車製造業界に応用するため、ドイツの工場ですでに大規模な製造を始めているそうです。 ペロブスカイトを用いた太陽電池の開発に成功したのは、オックスフォード大学の研究チームが初めてではありません。日本でも、積水化学工業とTERRAが、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を営農型ソーラーシェアリングに利用するための国内初の実験を8月に開始しています。 気候変動対策を加速させるためには、再生可能エネルギーの大規模な導入は不可欠です。あらゆる場所、あらゆるものへの適用が可能で、広い土地も山林開発も必要ないペロブスカイト太陽電池。近未来のエネルギーとして期待できますね。 Source: Oxford University Reference: electrek, CNN, Oxford PV
Kenji P. Miyajima