【巨人】4年ぶりFA戦線参入へ 大型補強を連発した時代と「目的が明確に違う」と言い切る根拠
今年のFA申請は13日に期限を迎える。リーグ優勝を果たした巨人は国内FA権行使の意思を固めたソフトバンク・甲斐拓也捕手(32)や、権利行使を熟考中の阪神・大山悠輔外野手(29)らの動向を注視。その一方で、かつて球界のスターをかき集めた〝乱獲〟の時代と現状では大きく異なっているという。球団フロントが描く「新FA戦略」とも言うべきスタンスとは――。 日本球界を彩る有力選手たちが、今年のFA市場をにぎわせている。12日時点で甲斐と石川(ソフトバンク)、木下(中日)、茂木(楽天)、九里(広島)、原口(阪神)が既にFA権行使を宣言。そのほか大山や高橋(中日)ら権利を保有したまま今も悩んでいる選手たちの動向にも大きな注目が集まっており、今オフのストーブリーグは例年以上に活性化している。 そうした中、球界の盟主・巨人もFA戦線へ久々に参戦する姿勢をうかがわせている。行使を熟考していた大城卓三捕手(31)が「今のチームメートと一緒に日本一になりたい」と12日に残留を決断。一方で阿部監督は「チームの課題は明確に出た。そこを補強だったり新戦力でチーム編成していければ」と戦力補強を山口オーナーに直談判するなどリーグ連覇、日本一奪回に向けて盤石な体制をとるべく来季の新チームづくりを進めている。 FAでの選手獲得となれば、DeNAから井納、梶谷を獲得した2020年以来。球団にとっては4年ぶりの〝参戦〟となるが、どのような意図があるのか。球団関係者は現在のチーム戦略について「10年、20年前のような大型補強を連発した時代とは、目的が明確に違う」と言い切る。 その上で「かつてはFAで大物を獲得し、その選手たちを中心として新たなチームづくりが進められていた。ただ、それは原前監督の(第3次政権の)時代に『もうやめましょう』となった。『チームの軸となるように生え抜きの選手を育て、自前の選手を中心にチームをつくろう』と。時間はかかったけれども、昨季までに『種まき』は終わって、今はようやく『花』が咲いてきた状態。FA戦線はあくまでも+α(プラスアルファ)の意味合いが強い」とも明かし、以前までのFA戦略とは明らかに方向性が大きく異なっていることを強調した。 FA至上主義ではなく、あくまでも現有戦力の穴を補うための補強――。「種まき」の成果が着実に出始めた阿部巨人において、久々に推し進めるFA戦略の結果はどのように作用していくか。
熊沢航平