「私に逮捕状が出ている」 150万円振り込んだ特殊詐欺の被害女性が語る”巧妙な手口”
2024に沖縄で起きた事件・事故の中でも、ひときわ大きな被害が出たのが「特殊詐欺」です。今年に入って昨日までに県内で確認されている特殊詐欺は151件で去年1年間の発生件数と比べても3倍以上、被害額は2億1000万円に達しています。 【写真を見る】「私に逮捕状が出ている」 150万円振り込んだ特殊詐欺の被害女性が語る”巧妙な手口” 警察官を名乗る人物から"詐欺事件への関与が疑われる"と告げられ金をだまし取られた女性がその巧妙な手口を語りました。 先月、県内に住む30代の女性にの携帯電話にかかってきた一本の電話。 ▼詐欺被害に遭った女性 「仕事終わって家に帰ったタイミングで、携帯の070からかかってきて、荷物かなととったら、茨城県警からの電話だった」 電話口の人物は女性に、詐欺事件の容疑者の所持品から、自分名義の通帳が押収された、などと告げました。 「まだ情報公開してない事案なので、周りに誰もいないですかって確認されて、誰にも言ったらダメと念を押された」 その後、詐欺事件で騙し取られた金が女性名義の通帳に振り込まれていると告げられ、事情聴取という名目で無料通話アプリLINEでのビデオ通話がはじまりました。 「私に逮捕状・通帳の凍結差押え状が出ているといわれて、あなたの資産を一度調べて詐欺に使われたお金じゃないかを確認すれば返すことができる」 ビデオ通話は3時間以上にも及び、女性は精神的に追い込まれました。 「もう中盤ぐらいからは自分が捕まるかもしれないという不安と誰にも言ったらだめという孤独感と」 女性は自身の潔白を証明したい一心で、「口座の金の紙幣番号を調べる」という相手の提案に同意。指定の口座に150万円を振り込んでしまいました。 「捜査という名目であれば、お金を振り込んで調べることも、私が無知だったんですけど、あるのかなと思ってしまっていた」 社会心理学の専門家は、詐欺の手口の特徴をこう語ります。 ▼琉球大学 泊真児 教授 「考えさせない、焦らせる、すぐに行動させる、そういうようなパターンです」 犯人は、ターゲットに考える隙を与えません。被害者になりやすい人の特徴もあるといいます。 「自分は(詐欺に)あわないと楽観的に考えてしまうような思考のゆがみが人間にはあるのですが、それがある人ほど、いきなり電話がかかってきたときに、警戒心が働かない」 犯罪グループは、ターゲットの家族構成や資産を調べ、相手にあわせていわば手口をオーダーメイドするような手口をつくりあげ、金を騙し取るといいます。 自分が騙されないためには、社会で起きていることを自分事として捉え、いつ自分の身に起こるかもしれないと警戒することが必要です。
今回インタビューに応えてくれた女性も電話で偽の逮捕状などを確認するよう指示されたり金の振込時間を指定されたりするなど考える隙を与えられませんでした。 警察官を名乗る特殊詐欺について去年、被害はなかったということですが、今年は30件約1億1100万円の被害が確認されています。 ▼神里記者 「資産家がターゲットにされているわけではなくその日の生活も難しい生活困窮者が全財産をだまし取られたケースもありました。年齢や貯金額に関わらず誰もが被害者になる可能性があるため私たち1人1人があすはわが身だという危機感警戒心を持つことが大切だと感じました」
琉球放送