a flood of circle デビュー15周年記念公演!序盤からクライマックス級の熱狂空間を生み出した、日比谷野音ワンマンをレポート
ライブ中盤、アコギに持ち替えた佐々木が「月面のプール」のイントロをオフマイクで披露した歌声が、周囲の木々から響く蝉の声と共鳴していたのも、野音ならではの印象的な名場面のひとつだった。「青臭くなくて面白い人って、これまで見たことないんだよね、ひとりも。みんな、すごく真っ青で……すてきですよ」という言葉とともに、佐々木アコギ編成でもう1曲演奏したのは「BLUE」。《選んだ道のりが 正しかったのかは 最期に分かるさ》……AFOCの核心を決然と言い当てた一節が、ひときわ深く強く心に迫ってきた。 「“俺たちはどこに行くのか?”とか“バンドいつまでやるのか?”とか、ふと思った時に……俺たち結局、死んだ時に“この人なりに成長しました”みたいな弔辞を読まれるだけなんだ、って思って。どうせ“成長しました”なのか俺、と思って。だったら、生きてる内ぐらいは成長したくないなと思って」 MCでそんなふうに語った佐々木の「OK、行けるところまで行こう!」という呼びかけに応えて、「花」では観客の熱い歌声と拳が野音一面に突き上がり、「New Tribe」「ミッドナイトクローラー」「Blood & Bones」と連射されるアンセムの数々に、まだ暑い野音の夕景がなおも熱を帯びていく。 渡邊・HISAYO・アオキ3人セッションのコーナーで「10年ぶりに野音に帰ってきたわけですけど……暑いよ!」と感慨を叫んでいた渡邊。「今日はお前ら野音で、月曜日だ! 最高だな!」と喜びを露わにしていたのは、4人の中で唯一「AFOC野音」初体験となるアオキテツ。そんなメンバーの奮い立つ情熱と、「白状」の渇いた歌詞をさらにアレンジして《愛も 夢も 平和も ロックンロールも 続くもんだと思ってたなんてね》と生ピアノ弾き語りで演奏する佐々木の歌声とが、まったく矛盾なく存在しているのも、波乱に満ちた歴史の果てに“今”を迎えているAFOCの連帯感の形なのだろう。日が落ちてようやく涼しい風が吹き始めた野音に《くたばるとこまで/行こうぜ》という佐々木の切実な歌が広がる。 「花降る空に不滅の歌を」から「月夜の道を俺が行く」「本気で生きているのなら」……とライブはいよいよ終章へ向けて高まっていく。後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のプロデュースによるツアー表題曲と言うべき楽曲「キャンドルソング」に続いて披露されたのは、ホリエアツシ(ストレイテナー)をプロデューサーに迎えたシングル曲「ゴールド・ディガーズ」。《武道館 取んだ3年後 赤でも恥でもやんぞ》と昨年9月に大きな目標をぶち上げたフレーズを「武道館取るぞ2年後! 武道館やるぞ2年後! まだ取れないかもしれないけど……」とアップデートして叫び上げる佐々木に、割れんばかりの大歓声が湧き起こった。本編ラストはバンド初期から響かせ続けた2曲「プシケ」「シーガル」で、野音にダイナミックなシンガロングの輪を描き出してみせた。 「えっと……アルバム出します!」 アンコールは佐々木の突然の発表で幕を開けた。「でも、ちょっと自信なくて、歌詞。歌入れる日を2日飛ばして。明後日3曲録るんだけど、まだ一文字もないの」と驚きの内幕を明かしつつ、さらにZepp DiverCity公演を含む新たなツアーの開催も発表。夜の野音がなおも熱く高ぶっていく。 「なんで俺、武道館やりたいのかな?と思って。正直、あんまりカッコいい理由があるわけじゃなくて“みんなが持ってるオモチャ”だからかもしれない。武道館に思い入れがあるかっていうと特にないんだけど、なんかそれをやらずに死ねないっていう気持ちだけは持ってるんですよね」と佐々木がバンドの“これから”への思いを覗かせたところで、「今日に相応しい曲だと思うんで……」と新曲「虫けらの詩」(配信中)を披露。炎天下で3時間近く歌い続け、さすがに疲労困憊状態の佐々木が、それでも懸命に《15年叫んでる 同じようなメロディー/誰もが光へ飛んでいっても/闇に残った一匹》のフレーズを絞り出す姿に、抑え難く胸が震えた。「じゃあ……死ぬほど元気でね!」という佐々木のコールとともに放たれたこの日最後のナンバーは「Honey Moon Song」だった。躍動感に満ちた観客のシンガロングが、都心の夜空に爽快に広がっていった。 この日に初披露された新曲「虫けらの詩」も収録されるa flood of circleのニュー・アルバムは11月6日にリリース予定。また、アルバムのリリースツアーとして、11月28日から来年6月まで34カ所・計37公演に及ぶ全国ツアー『a flood of circle Tour 2024-2025』が開催される。 Text:高橋智樹 <公演情報> 『a flood of circleデビュー15周年記念公演 “LIVE AT 日比谷野外大音楽堂”』 2024年8月12日(月・祝) 東京・日比谷野外大音楽堂 【セットリスト】 01. Buffalo Dance 02. 博士の異常な愛情 03. Human License 04. Blood Red Shoes 05. The Beautiful Monkeys 06. I LOVE YOU 07. 理由なき反抗(The Rebel Age) 08. I'M FREE 09. Dancing Zombies 10. GO 11. Black Eye Blues 12. ベストライド 13. 月面のプール 14. BLUE 15. 花 16. New Tribe 17. ミッドナイト・クローラー 18. Blood&Bones ~[Session]~ 19. Lucky Lucky 20. 美しい悪夢 21. Rollers Anthem 22. 北極星のメロディー 23. 白状 24. 花降る空に不滅の歌を 25. 月夜の道を俺が行く 26. 本気で生きているのなら 27. キャンドルソング 28. ゴールド・ディガーズ 29. プシケ 30. シーガル En1. 虫けらの詩 En2. Honey Moon Song <配信情報> デジタル・シングル 「虫けらの詩」 配信中 <リリース情報> ニュー・アルバム 『タイトル未定』 2024年11月6日(水) リリース <ツアー情報> 『a flood of circle Tour 2024-2025』 ■2024年 11月28日(木) 千葉・千葉LOOK 11月29日(金) 千葉・千葉LOOK 12月6日(金) 大阪・堺FANDANGO 12月7日(土) 大阪・堺FANDANGO w/ THE CHINA WIFE MOTORS ■2025年 1月23日(木) 愛知・名古屋CLUB UPSET 2月9日(日) 京都・磔磔 2月11日(火・祝) 広島・SECOND CRUTCH 2月13日(木) 愛媛・松山Double-u studio 2月15日(土) 高知・X-pt. 2月16日(日) 香川・高松DIME 2月18日(火) 静岡・UMBER 3月6日(木) 兵庫・太陽と虎 3月8日(土) 鹿児島・SR HALL 3月9日(日) 大分・club SPOT 3月11日(火) 岐阜・ants 3月16日(日) 神奈川・横浜F.A.D 3月20日(木・祝) 新潟・CLUB RIVERST 3月22日(土) 福島・郡山HIPSHOT JAPAN 3月23日(日) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE 4月5日(土) 長野・LIVE HOUSE J 4月6日(日) 石川・金沢vanvanV4 4月10日(木) 奈良・NEVER LAND 4月12日(土) 島根・出雲APOLLO 4月13日(日) 広島・福山Cable 5月9日(金) 宮城・MACANA 5月10日(土) 茨城・水戸LIGHT HOUSE 5月15日(木) 青森・八戸ROXX 5月16日(金) 青森・八戸ROXX 5月18日(日) 山形・山形ミュージック昭和SESSION 5月23日(金) 岡山・PEPPERLAND 5月25日(日) 福岡・LIVEHOUSE CB 5月30日(金) 北海道・札幌cube garden 5月31日(土) 北海道・旭川CASINO DRIVE 6月5日(木) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO 6月6日(金) 大阪・梅田CLUB QUATTRO 6月13日(金) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO) 6月21日(土) 沖縄・output