上戸彩、「後悔したくない」ワーキングママとしての葛藤も 『沈黙の艦隊』インタビュー
日米政府が秘密裏に開発していた原子力潜水艦が突如、核ミサイルを積んだまま反乱逃亡する、かわぐちかいじ氏の同名漫画を大沢たかお主演で実写化した映画『沈黙の艦隊』(2023年)。物語の続きがあることを感じさせるエンディングだった映画のその後、東京湾で勃発する大海戦のクライマックスまで描いた完全版連続ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』(全8話)が、動画配信サービス「Prime Video」で9日より世界240以上の国や地域で配信が始まった(初週に1~6話、2月16日に7~8話を配信)。 【画像】大沢たかお、玉木宏ら出演『沈黙の艦隊~』場面写真 俳優の上戸彩が演じるのは、政府の陰謀を訝しがり、メディアの闇と闘う、報道ニュースキャスター・市谷裕美(いちや・ひろみ)。今回の実写化では、1988~96年に執筆された原作漫画のストーリーの大筋は保ちつつ、現代的なアップデートがなされているが、市谷は「お客さんの目線に立つ人間として考えた」(松橋真三プロデューサー)オリジナルキャラクター。撮影にあたってはリアリティにもこだわり、市谷が絡むシーンは実際のテレビ局のスタジオでロケが行われた。 「原作がある作品もたくさんやらせていただきましたが、オリジナルキャラクターって『いらない』と叩かれることもあるんですよね。とはいえ私にとってはすごくやりがいのあるキャラクターでした。最近は等身大の母親役で起用していただくことが多かったので、今の自分と少しギャップがある役は久しぶりでした。ギャップがある分、スイッチの切り替えも楽しかったです。 原作は30年ほど前に描かれたものですが、テーマは現代の世界に当てはまる部分がとても多くあると感じたので、市谷というキャラクターが原作と現代とのギャップを視聴者に感じさせない役割を担えたらいいな、という思いで演じさせていただきました。水川あさみさんや夏川結衣さんもですが、強い女性が登場することで現代的な作品になっていると思います」 上戸といえば、小学6年生の時に「全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞したことがデビューのきっかけとなり、以来、ドラマ、映画、CMで活躍。タレントCM起用社数ランキング(ニホンモニター調べ)では通算6度の年間首位を獲得し、文句なしの“平成のCM女王”となった。そして、38歳になった現在、3人の子を持つ母親でもある。 2015年に第一子、19年に第二子を出産してからは、子育て・家庭を優先し、仕事をセーブしながらも、話題作やCMに登場し、高い好感度を保っている。昨年6月に第三子を出産し、その後、初めて公の場に姿を現したのが同年9月、映画『沈黙の艦隊』の初日舞台あいさつだった。同作への出演オファーは「ありがたいことばかりでした」と振り返る。 「配信サービスのオリジナル作品も気になっていた中で、撮影当時は2人の子育て中でしたが、そんな私にオファーしてくださったこと自体、とても光栄でした。大沢たかおさんがプロデューサーも兼務されている企画であるということ、出演者の方々がご一緒したい役者さんばかりそろっていたこと、何より今の私の状況でも撮影に参加できそうなスケジュールだったこと。『お母さんでもある役者さんを応援したい。働きやすい現場を作っていきたい』と言っていただき、とてもうれしかったです。育児をしながらでも、安心して仕事に集中できるとても居心地のいい撮影現場を用意してくださって、ありがたいことばかりでした。もちろん、それに甘えてはいけないと思いますし、それが当たり前だとも思っていません」 仕事・家事・育児をこなしているワーキングママの中には、時短勤務という働き方で肩身が狭い思いをしている人も少なくない。上戸の発言にも葛藤がにじむ。 「今は家庭を第一にしているため、『何でもやります』と言えない役者の1人。製作側にとってはすごく使いづらいと思うんです。それでもオファーしてくださった方の期待に応えたいという気持ちはあっても、家庭と仕事のバランスを考えて、お断りせざるを得ないこともあって、心苦しいです」