四ヵ字豊年祭始まる 五穀豊穣と無病息災を祈願 きょう盛大にムラプール
八重山に伝わる最大の伝統行事、石垣市の四ヵ字豊年祭(オンプール)が28日、地域の各御嶽で執り行われ、五穀豊穣への感謝、来夏世の豊作と無病息災を祈願した。各字の優良農家表彰や功績のあった字民には感謝状が贈呈された。29日には新川字会が他の字会を招待し、真乙姥御嶽でムラプールを開催する。 【登野城字会】 登野城字会(田場由光会長)は28日午前10時から米為御嶽(イヤナスオン)で豊年を祈願。午後2時から天川御嶽(アーマーオン)でオンプールを行った。田場氏が祈願文を奉読。神事・ミシャグパーシイでは、男性たちが神酒を酌み交わし、豊穣に感謝した。伝統舞踊の奉納も行われた。 祈願文の奉読で、田場氏は「天恵豊かな五穀豊穣の世果報を迎え心の安らぎの中に生きる喜びを賜り、万人共々に深く感謝申し上げる」と述べ、今年も平和で栄える年になるよう祈願した。 両御嶽では、登野城小の児童がイリク太鼓、登野城女性会が巻き踊りを、それぞれ奉納。天川御嶽では、加えて舞踊奉納(夜雨節・よーほー節)や八島小児童によるエーク踊、石垣第二中の郷土芸能部による伝統芸能が、それぞれ奉納された。 【石垣字会】 石垣字会(崎枝純夫会長)は28日午後、宮鳥御嶽でオンプールを開催した。旗頭奉納から始まり、今年の豊作に感謝する「フバナアギ」、来夏世の豊作を祈願する「ニンガイ」が執り行われ、字民の無病息災や健康を祈願した。 芸能では、キヤリィヌザイ保存会による奉納、緑ヶ丘保育園は旗頭やツナヌミン、石垣中学校郷土芸能部の演舞などが次々と披露された。青年部による棒術、獅子舞奉納もあった。 石垣小学校の5年児童は、学校の校庭で育て、収穫したばかりの稲穂を奉納、同6年は鼓笛隊を奉納した。 崎枝会長は「今年も豊かな実りがあり多くの農産物が収穫できたことは、皆さんの努力の賜物です。祭りを通じて、地域の絆をさらに深め、次世代へとつなぎ、楽しみながらこの瞬間を分かち合いましょう」とあいさつした。 【大川字会】 大川字会(次呂久信智会長)のオンプールは28日午後4時から、大石垣御嶽で行われ、字会に継承される「松竹梅」「ズルカキ」の2本の旗頭を奉納し、祝いをスタートした。旗頭は御嶽の前と鳥居の外に分かれ、豊年祈願が奉納され、地域住民など多くの人が見守った。 次呂久会長は「天候不良などで今年は不作が心配されたが、実り多い年となり、来場の皆さんと五穀豊穣を願うことができることに感謝します」と述べた。 芸能奉納では、老人クラブによる「鷲ユンタ」で座開き。婦人会「島若夏」「日は輝き」を演舞。 大川保育園の園児らは「豊年の歌」を元気よく歌い、「奉納太鼓」「棒術」などを次々に披露し、会場からは大きな拍手が湧いた。八重山農林高校は旗頭「花と蝶」、同郷土芸能部は「米ヌ為し」を奉納した。 【新川字会】 新川字会(宜野座安夫会長)は28日午後2時から長崎御嶽でオンプールを執り行った。神司による願い(ニンガイ)の後、役員らが大神酒奉納を行い、1年間の豊作の感謝と、来夏世(クナツユ)の豊作を祈願した。 宜野座会長はあいさつで「厳かに執り行った」と報告。石垣島を取り巻く畜産業について「温暖な地域特性を生かした多種多様な農業が行われているが、高齢化や資材高騰など課題を抱えている。自動化により生産率を向上させるなど、関係機関が一体となって夢のある農業が展開されることを期待する」と述べた。 祝賀会では、字会の子どもたちによる「こども旗頭」が登場し、元気いっぱい声を出して会場を盛り上げた。 同女性会の「うりずんの詩」や、あらかわこども園の「イニシリ節」、新川小学校は「繁昌節・とぅまた節」が披露された。東京八重山会(髙橋貫太郎会長)初参加した。 産業共進会から功績のあった字民が表彰され、感謝状が贈呈され、功労者表彰を受けた入嵩西整さん(84)が表彰者を代表してあいさつ。「農は国の基と言われているように国、県、市の財政を支えていることを自負し、儲かる農業を目指す」と述べた。