中国・AIブームがもたらす雇用市場の大変化
【東方新報】人工知能(AI)ブームによって新たな雇用機会が生み出される一方、一部の熟練労働者や専門職にとっては短期的には痛みを伴う変化となる可能性もあると危惧されている。 先月末、中国政府は質の高い十分な雇用の促進を目的とするガイドラインを発表した。 その中で、全てのクラスの政府関係部門に対し「人工知能などの急発展する新技術が雇用に与える影響に対して積極的に対応せよ」との指令が出された。 グローバルな人材サービス企業「アデコグループ(TAG)」の倪瀛(Ni Ying)中国CEOは「中央政府がAIと労働市場を関連付けたのは初めてのことだ。これは当社のような企業が視野を広げるのに役立つであろう。急速に進化するテクノロジーがもたらす課題に対処しながら、新たな就業機会を模索せよということを気づかせてくれる」と、高く評価している。 すでにAIのノウハウを身につけた求職者にとって、中国の労働市場の見通しは明るい。 中国の求人ポータルサイト「招聘(Zhaopin)」によると、大規模言語モデル(LLM)に関連する言語処理の専門家募集の今年上半期の求人数は、前年同期比111パーセント増加した。またロボットアルゴリズムやディープラーニングのスキルを持つ人材の求人数も、それぞれ76パーセントと61パーセント増加したという。 米国に本社を置く大手コンサルタント会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)」は、中国では2030年までにAIに関する高度な知識を持つ専門家が600万人必要になると推定している。これは2022年の6倍にあたる数字だが、その時点での人材不足は400万人に上る可能性があるとしている。 しかし、AIは他のテクノロジーと同様に諸刃の剣である。AIの知識を持つ人材の需要は非常に旺盛となる一方、雇用安定性を脅かすとの見方も存在する。 「招聘」の郭盛(Guo Sheng)CEOは「AI発展によって最も影響を受けるのは、財務、監査、税務、翻訳、銀行業務のポジションであろう」との予想を述べている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。