トヨタ豊田会長の取締役選任賛成率71.93%、不正など受け大幅減
(ブルームバーグ): トヨタ自動車は19日、前日に開催した定時株主総会で決議された豊田章男会長の取締役選任に対する賛成率が71.93%だったと明らかにした。トヨタグループで認証不正が相次ぎ発覚する中、昨年の84.57%を大幅に下回った。
トヨタの臨時報告書によると、総会で会社側が提案していた10人の取締役候補の中で豊田氏の賛成率は最も低かった。一方、佐藤恒治社長に対する賛成率は95.44%と昨年比で微減にとどまった。
トヨタグループでは日野自動車やダイハツ工業、豊田自動織機で相次ぎ認証不正が明らかとなったほか、今月にはトヨタ本体でも不正が発覚した。取締役選任に必要な過半数の賛成は得られたものの、長年経営のかじ取りを担ってきた同氏に対して厳しい視線を向ける投資家が少なくないことを改めて示唆する結果となった。
トヨタは今回の賛成比率について、認証問題や取締役会の独立性、政策保有株など様々な背景がある中、主に機関投資家がそれぞれの議決権行使基準に従ってトヨタに対し率直な指摘をしたものと受け止めているとのコメントを出した。
相次ぐ不正を受け、愛知県豊田市にあるトヨタ本社で18日に開かれた株主総会では、質問に立った株主からトヨタのガバナンスが十分機能していないと懸念する声も上がっていた。
豊田会長は、佐藤社長などの執行メンバーには常々「責任を取るのは自分、決めて実行するのは執行メンバー、いつでもどんなことでも相談に乗る」と伝えていると述べた。「若い執行メンバーが思い切って決断し、自らの成長につなげてほしい。そう願っている。それを院政と言われるのであれば、私は喜んで院政をしたい」と続けた。
豊田会長の取締役選任を巡っては昨年は賛否の分かれていた議決権行使助言会社グラスルイスとインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)がそろって反対を推奨していた。
また、公的年金基金で米国最大のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)や2位の同州教職員退職年金基金(カルスターズ)といった一部大手機関投資家も昨年に続き豊田氏などの選任について反対する意向を示していた。