新NISAで投資を始めたいのですが、 2024年6月の定額減税による税金の還元を期待して始めるのはダメですか?
政府が2024年6月に行うと予定している、いわゆる所得減税が物議を醸しています。内容は、納税者と扶養家族1人当たり所得税3万円、住民税1万円、計4万円の定額減税による還元とされています。本来であれば減税は国民にとって喜ばしいはずですが、内閣の支持率は低下しているため、どうやら国民の多くは高く評価していないようです。 今回は、2024年から新NISAが始まることもあり、税金が戻ってくることの意味について、投資初心者向けに国内総生産(GDP)と税金の関係から簡単に考えていきます。 ※この記事は2023年11月30日時点の情報を基に執筆しています。
GDPとは何か
GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)とは、一定期間に国内で産出されたモノやサービスの付加価値の総額を意味します。これだけだと分かりにくいと思うので、自動車が消費者の手に届くまでの過程を例に説明します。 まず、自動車の生産に必要な鉄の採掘会社は、自社で採掘した鉄鉱石に利益(付加価値)を乗せて、鉄鋼などの鉄製品を作る製鉄会社に販売します。製鉄会社は鉄製品を自動車会社へ販売し、そして自動車会社が生産した自動車を消費者が購入することになりますが、それぞれの過程で利益(付加価値)が上乗せされています。このような一連の流れで生み出された、利益(付加価値)の合計がGDPです。 GDPは実額で示されますが、内閣府の速報では2023年第3四半期(7~9月期)は名目で588.5兆円、実質で555.1兆円となっています。 GDPを計算式で示すと、以下のようになります。 GDP(国内総生産)=C:消費+I:投資+G:政府支出+(X:輸出-M:輸入) Cは消費で、企業や家計といった民間の消費を指します。Iは投資ですが、企業の設備投資や家計の住宅投資といった民間投資のことです。Gの政府支出には、政府が行う消費や投資が含まれます。そして、Xが輸出、Mが輸入です(輸出から輸入を差し引いたものが純輸出)。これらのすべてを足し合わせたものがGDP、国内総生産です。