伝統的な生酛造りが新時代の日本酒を切り開く 神奈川・海老名『泉橋酒造』
受け継がれる「山おろし」の技
生酛造りを象徴する作業が「山おろし」。蒸し米と麹と水を混ぜてすり潰す。名前の由来は、山のように盛った 米を櫂で崩すことから。その工程を見せていただいた。
1 蒸し米~手酛
酒米を甑(こしき)で蒸す。25~30°Cになったら、水分を保ったままゆっくり冷まして米を硬くする(埋け飯)。 蒸し米、米麹、水を両手で均一に混ぜ、これを3回繰り返す(手酛)。最後に山型に盛る。
2 山おろし(酛すり)
丸みを帯びた櫂棒を使い、2~3人1組で左右に息を合わせて回りながら約5分で酛をすり潰す(一番櫂)。4時間ほど寝かせ2回目を行う(二番櫂)。10分ほどで全体が水っぽくなり、表面が光ってくる。 <ドラマチックな菌の交代劇> 酛すり後、まず硝酸還元菌が亜硝酸を作り出し、他の野生酵母や雑菌を抑え始める。次にゆっくりと温度を上げると、殺菌力の強い乳酸が生成され、硝酸還元菌と亜硝酸を無力化。乳酸の中で酵母菌は増殖し、生成されたアルコールで乳酸菌は死滅して酛ができる。
3 酛寄せ
半切り桶に入った酛を酒母タンクに入れて、タンクの壁に跳ねた酛を丁寧に取りながら、平らに整える。この後は、温度管理をしながら酵母を加える。タンクに仕込んでから30日前後で酒母が完成。
酒米や醸造方法で違いを楽しむ、生酛ラインナップ
左から 「いづみ橋 とんぼラベル 楽風舞 純米大吟醸 生酛」 「いづみ橋 とんぼラベル 雄町 純米大吟醸 生酛」 「黒とんぼ 生酛 純米酒」 「桃色黒とんぼ 生酛 純米酒」 「生酛 純米 秋とんぼ 山田錦」 「生酛 純米 秋とんぼ 雄町」 「純米大吟醸 生酛 いづみ橋」 「純米酒 生酛 夏ヤゴ 13」 「純米酒 生酛 夏ヤゴ MOMO 13」。 泉橋酒造 住所/神奈川県海老名市下今泉5-5-1 TEL/046-231-1338 com/。
buono編集部