「鏡があると見てしまう」心理で盗撮防止 実証実験で「安心」の声
「つい鏡があると見てしまう」。そんな人の心理を利用した盗撮被害防止の取り組みを、愛知県警が16日から始めた。エスカレーター脇に設置された鏡に利用者が映ることで、被害に遭うかもしれないと後方を警戒したり、見られているかもしれないと盗撮を思いとどまったりする狙いがあるという。 【写真】設置された鏡 一般的な鏡より、周りがよく見える 設置されたのは、名古屋市中村区のエスカ地下街など2カ所にあるエスカレーター。鏡メーカー「コミー」(埼玉県川口市)が広角で映るように特殊加工した鏡(アクリル製、横約25センチ、縦約30センチ)で、交差点の衝突防止にも使われている。エスカレーターに設置された鏡の前の人だけでなく、後方の人の手元まで映し出すため盗撮防止、抑止に効果的だという。 同社によると、昨年6月以降、大阪や神戸の駅などで導入。同12月からは埼玉高速鉄道の駅で効果を検証する実証実験をしたところ、利用者から「抑止につながる」「安心」などの声があがった。 エスカの原孝一施設部副部長も、設置された鏡に視線を移す利用者が多いと感じたといい、「安心・安全を感じてもらえたら」と話す。愛知県警生活安全特別捜査課の河村巧課長補佐は「今後、鏡を見て後方を気にする人がいるかなどを検証し、効果があれば県内に広げたい」とした。 今年1月~10月末、県警に寄せられた盗撮被害の通報や相談などの情報は508件あった。そのうちエスカレーターでの被害情報は63件だったという。【田中理知】