止まらぬ閉山期の富士登山…入山を規制する法的根拠なし 問われるモラルと自己責任 隊員は命がけで救助へ【静岡発】
ハードル高い規制…救助有料化は?
こうした中、静岡県富士山世界遺産課の大石正幸 課長は、閉山期の富士山は山小屋や衛生センター(診療所)が閉まっていることから、「上の方で何かあった時に、助けを求めたり、受け入れたりという体制がなく、本当に危険が大きい」と警鐘を鳴らす。 ただ、「山なので(県道である)登山道以外からも入れるため、入山の規制について法令上の制度が今のところはない」と話し、閉山期における登山自粛はモラルに訴えるしかないのが現状だ。 山岳遭難をめぐっては、活動中にヘリコプターが墜落し隊員が死亡した事故を受け、埼玉県が2017年に全国で初めて条例により救助の有料化に踏み切った。県が指定する山や地域において防災ヘリで救助を受けた場合、燃料費に相当する手数料としてフライト時間5分につき8000円を徴収する。 一方で、静岡県にはこうした条例はなく、今回のように民間業者に依頼してブルドーザーで遺体を搬送したり、救助者を下山させたりした場合でも費用は県が税金から支出している。 2024年11月に発足から52年を迎える静岡県警の山岳遭難救助隊は、卓越した登山技術と専門的な知識により、これまで救助活動中に命を落とした隊員はいないが、その任務は常に危険と隣り合わせだ。隊員に何かあってからでは遅い。 (テレビ静岡)
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