米大統領選直後のFOMCでは予想通り0.25%の利下げ:トランプ政権とFRBの闘いが再び始まる
追加関税は経済を悪化させ、いずれは金融緩和を促す要因に
FRBは、当面トランプ政権の経済政策とそれが経済、金融市場にもたらす影響を慎重に見極める必要がある。仮に、トランプ氏が公約通りに大規模な追加関税を導入すれば、それは物価上昇率を高めるだろうが、それはコストプッシュ型の一時的なものだ。他方でその政策が米国経済を悪化させれば、最終的にはFRBの金融緩和姿勢はより強まるだろう。 トランプ氏が公約に掲げた経済政策をどの程度実行するかは不確実であるが、大規模追加関税や移民規制強化を実施すれば、その経済へのマイナス効果は、所得減税の延長、法人税率引き下げ、規制緩和などの政策によるプラス効果を大きく上回ると考えられる。 その場合、FRBの利下げ観測が強まり、長期金利は顕著に低下、ドルは大きく下落するのではないか。これは、現在、金融市場で進むトランプトレードとは逆方向だ。いずれ、トランプトレードは見直されていくものと見ておきたい(コラム「トランプトレードはいつまで続くか?:危うさがあるドル高円安シナリオ:日銀追加緩和の時期にも影響」、2024年11月7日)。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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