<春に挑む・’23センバツ海星>支える人/下 主将、副主将の父で先輩 田川直秀さん、平尾吉隆さん /長崎
◇果たせなかった“夢”託す 海星の田川一心主将(2年)と平尾幸志郎副主将(同)は、小学1年で長崎南リトルリーグ(長崎市)で野球を始めた幼なじみ。2人の父親も共に海星の3年生だった1993年に副主将、主将として甲子園を目指したが、果たせなかった。現在、保護者として部を支える父親たちは「昨夏からの甲子園連続出場は夢のよう。2勝止まりだった昨夏の悔しさをばねに、目標の『3勝』を達成してほしい」と願う。 田川主将の父で会社員の直秀さん(47)は海星の元副主将。長崎南リトルリーグでコーチを務め、2021年からは海星中でコーチとして教えている。田川選手が小学生だった6年間、毎日、直秀さんが自宅で約2時間のバッティング練習などを指導。今でもトスバッティングなどを手伝う。 田川選手は「幼い頃から練習に付き合ってくれて鍛えられた。父の教えが今の自分の力になっている」と感謝する。 一方、平尾副主将は22年秋の県大会で、2年生としての責任感が空回りし、5試合で1安打と打撃不振に陥った。長崎市で保険代理店を営みながら今も長崎南リトルリーグの監督を務める父吉隆さん(47)は「力み過ぎず、楽に打て」とアドバイス。休日には2人で打撃練習に取り組んだ。 その後の九州地区大会で、平尾選手は西日本短大付(福岡)との準々決勝で三塁打を放つなど、3試合で4安打を放った。平尾選手は「悩んだ時に相談する。助言がいつも的確」と、主将だった父に厚い信頼を寄せる。 父親たちは毎晩8時ごろ、長崎市宮崎町のグラウンドまで車で選手を迎えに行く。野球部保護者会長と学校の育成会長を兼務する平尾選手の父吉隆さんは「家族で『甲子園』という夢を追っているので、サポートを大変だと感じたことはない」。平尾選手は「センバツで活躍して、両親の喜ぶ顔が見たい」と意気込む。 田川選手の父直秀さんは「近くで応援できるのも高校生が最後。いよいよラスト1年だと思うと寂しい。甲子園では思いっきり楽しんで」とエールを送り、田川選手は「照れくさくて普段は感謝の気持ちを伝えられていないので、センバツの結果で家族に恩返ししたい」と語った。【松本美緒】 〔長崎版〕