「倍額の請求は当たり前」読売テレビ“制作費キックバック”で思い出す、芸能界のケタ違い「不正勘定」
《芸能リポーター・石川敏男の芸能界“あの出来事のウラ側は……”》 日本テレビ系の『日本海テレビ』の53歳の経営戦略局長が『24時間テレビ』の寄付金など1118万円を着服し解雇されたことが話題になっている。45年も続いた長寿番組が消えてしまう可能性もある大問題だが、そのウラで同じ日テレ系列の『読売テレビ』でも、金銭トラブル問題が表面化した。 【すごい…写真あり】大沢たかお ツーショット「ドライブデート」のお相手は”まさか”の日テレ岩田絵里奈アナ 深夜の音楽番組『カミオト夜』を担当していた40代の男性管理職員が、番組を請け負っている制作会社に不正請求をさせ、その金を自分自身に還流させていたとして懲戒解雇された。 芸能界の“どんぶり勘定問題”は、昭和にはいくらでもあった。それが、まだ続いていたとは……。 映画会社の宣伝部にいた先輩が、テレビ番組の広報マンとして人気番組と宣伝契約した。かなり手広く宣伝業務を担当してきていたが、ある日 「テレビ局のプロデューサーから経費上乗せの相談を受けた」 と聞かされた。すでに業界からは引退している先輩だが、番組の宣伝経費として倍近い請求書を作成するように依頼される。 出演タレントのスキャンダルが表面化してからだそうだ。 「従来の金額は支払うけど、残りは私の口座に」 と言われ先輩の“税金分も負担する”ということで約束が成立したようだ。 聞くところによると、このような局と番組制作会社の“力関係”は、昭和の末ごろまでは続いていたらしい。 局に余分に支払わせ、個人的に着服していたその幹部は、そのお金で一等地の繁華街にブティックを開店し、妻に経営させていた。出演タレントにまで販売していたというから本当の悪だったんだろう。先輩に言わせると、その番組が無くなるまで続いたと聞いた。 「仕事は続けられたが、利益はなかったな」 らしい。 “どんぶり勘定”と言えば、松竹時代に映画会社の製作主任の先輩から聞いた話もすごかった。 エンドロールに名前が出るくらいの人で、映画製作費のすべてを管理する人だ。 海の見える山の上でのロケ。遠くの海原に大きなが外国船がゆったりと航行している。偶然カメラに収まったシーンなのだが、信じられないが製作主任は、その船をチャーターしたことにして製作費に加えたのだ。 そんな信じられない“どんぶり勘定”が行われていたのが、映画を含めた昭和時代の芸能界。平成、令和になってからは、景気が落ち込んだこともあり、聞くことも無くなった伝説の武勇伝だ(笑)。 今ごろ、いつ自分に回ってくるかもしれないと、ひやひやしているテレビ局のプロデューサーやディレクターがいるかもしれない。コンプライアンスが厳しくなり、そんな時代はとっくに終わっているのにだ。 それなのに、お金に関する不正問題は、政治の世界も芸能界もきっと消えないのだろうな……。 文:石川敏男(芸能レポーター) ‘46年生まれ、東京都出身。松竹宣伝部→女性誌記者→芸能レポーターという異色の経歴の持ち主。『ザ・ワイド』『情報ライブ ミヤネ屋』(ともに日本テレビ系)などで活躍後、現在は『めんたいワイド』(福岡放送)、『す・またん』(読売テレビ)、レインボータウンFMにレギュラー出演中
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