ハリソン・フォード〝無敵のヒーロー〟は牧場暮らしの「引きこもり」素顔は人混みが苦手なシャイで真面目なタイプ
【1万本を見た映画記者 極私的スター名鑑】 下積みの長い俳優は人気が出ると長続きするものだ。ハリソン・フォードは大学時代に結婚した彼女に勧められて俳優になったが、チョイ役時代が10年続き、大工仕事で生活費を稼いでいた。 【写真】ジョン・ウィリアムズの音楽がこれほど似合う男はいない だが、ジョージ・ルーカス監督のSF映画「スター・ウォーズ」(1977年)で一匹狼のハン・ソロ船長を演じて脚光を浴びる。この歴史的ヒット作はシリーズ化され、さらに考古学者役で主演したスティーブン・スピルバーグ監督の「レイダース/失われたアーク」(81年)も大ヒット。人気シリーズ2本を抱える大スターになった。 人気絶頂だったころのハリソンが「ブレードランナー」(82年)の宣伝で来日した際、帝国ホテルのスイートでインタビューをした。筆者のポロシャツ姿を見た彼は「ちょっと待ってね」と素早く隣の部屋へ行き、コットンシャツとジーンズに着替えて現れた。 「キャンペーンでいろんな国に行くから失礼にならないようにスーツを着ている。だけど、本当はジーンズのほうがリラックスできるんだ。今日はキミがラフな格好だからボクも助かるよ」 「仕事でストレスがたまってくると牧場にこもっている。ほとんど外出しないで家を修理したり、花壇を作ったり、読書をしたり、誰でもすることが楽しい。人の多い場所はダメでディスコなんか大嫌い。俳優だからってごく普通の生活をしていればいいと思う」 素顔はシャイで真面目なタイプ。ヒット作は数多く、どんな役を演じても人間味を感じさせるところがいい。仕事と私生活の割り切り方が半世紀もスターを続けてきたコツなのだろう。 昨年はシリーズ第5作の「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が公開され、健在ぶりを発揮した。 ■ハリソン・フォード 1942年7月13日生まれ、81歳。米シカゴ出身。 ■垣井道弘(かきい・みちひろ) 1946年、広島県三原市生まれ。明治大学文学部卒。週刊誌「女性自身」の記者を経て、映画評論家になる。著書に「MISHIMA」(飛鳥新社)、「今村昌平の製作現場」(講談社)、「ハリウッドの日本人」(文芸春秋)、「緒形拳を追いかけて」(ぴあ)などがある。