「松本人志不在のM-1」“審査員9名体制”の評価は。“新たな審査員”が「印象的なコメント」を披露
印象的だったNONSTYLE石田のトム・ブラウン評
その『漫才』という基準での採点のなか、特に印象的だったというのがNONSTYLE石田のトム・ブラウン評だった。 「『普通の漫才で笑えなくなった人を救済するための漫才』というものです。これに疑問を抱いた人もいたかもしれませんが、石田さんの漫才があって、そのうえでのトム・ブラウンの漫才をどう位置づけているか、的確なコメントだったと思います」 前述のように、今回はレジェンド格のベテランが審査員として姿を消したことになる。 たとえば真空ジェシカの高得点は、審査員陣の若返りによるものという感想をもった視聴者も一定数存在したようだが、もしレジェンド枠の審査員がいたら、結果は変わっていただろうか。そうたずねると、 「それはなかったと思います」 と答えた。 「真空ジェシカの1本目は、完全に老若男女が笑えるようなものへとバージョンアップしていました。 ですから、世代の上のレジェンドが見ても、絶対に面白いと評価されたはずではないでしょうか。ただ決勝の2本目で尖ったネタをぶっ込んで、結果的には1票しか入らないものとなりましたが(笑)」
M-1のカギを握る審査員の布陣
今回従来の7人から9人への増枠の理由は松本人志不在と関係あるのだろうか。 「それはある気がします。同じ人数で入れ替えの場合、この人が松本さんの代わり、後継者なのかという目で見られてしまうと思うので、人数を増やすことでパワーアップ感を演出することにつながった気がします。 もちろん第20回という記念の大会であることも理由として考えられますので、次回からまた7人に戻るかもしれませんが」 ともあれ令和ロマンのV2達成で新たな時代を迎えたM-1グランプリ。早くも来年の流れが気になるところだが、それもまた、審査員の布陣が鍵を握ることは間違いない。 破天荒なレジェンドの存在をまた見たい声が多く上がれば、レジェンド復活だってありえるかもしれない。 「おそらく今回から新しいM-1の審査の流れができた気がします」 大会経験者による審査、これが最も求められるものなのだろう。 <文・太田サトル> 【太田サトル】 ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。
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