栗山千明が『大奥』で放つ強い存在感 大奥を束ねる“上に立つ者”としての圧巻のオーラ
放送開始以来、愛憎入り混じるドロリとした感情がこれでもかと描かれてきた『大奥』(フジテレビ系)。倫子(小芝風花)と家治(亀梨和也)が紡ぐ甘く切ない愛の物語の裏で強い存在感を見せるのが、栗山千明演じる松島の局だ。 【写真】『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』栗山千明インタビュー撮り下ろしカット 大奥総取締役という立場で大奥を束ねる松島の局は、いわば女性たちの“頂点”ともいえる立ち位置にいる。家治の教育係からここまで這い上がった、実力者だ。だが、松島の局は愛憎入り乱れる大奥の中で嫉妬や妬みで倫子をいじめるほど器の小さい女ではない。松島の局は実は裏で側用人の田沼意次(安田顕)と手を組み、密かに計略を企てている。御年寄の高岳(田中道子)とはライバル関係にあることから、2人の間に散る静かな火花にも注目が集まっている。 表の顔と裏の顔を使い分けなければならないキャラクターでありながら、栗山は圧倒的貫禄と美しさで大奥の頂点を好演する。やはり豪華絢爛な着物に負けない存在感と、上に立つ者としてのオーラは圧巻だ。 特に安田顕との共演シーンでは、アクが強く狡猾な田沼を手玉にとる器用さと、着々と裏で手を引く様子が印象的である。安田と栗山の芝居の力で、一段と『大奥』の世界の奥深さは増していく。愛に政治が絡み、気持ちだけでは立ち行かなくなる様はあまりに酷く痛々しいが、その残酷な面こそが『大奥』という作品を輝かせている所以だろう。誰に対しても甘い顔を見せない松島の局のどっしりと構えた姿があるからこそ、この物語の面白さに拍車がかかる。 そんな松島の局を演じる栗山は幼い頃から芸能活動を行っており、芸歴は30年以上。ティーン誌でのファッションモデルを経験後、映画『死国』(1999年)にて女優デビューを果した。その後、『バトル・ロワイアル』(2000年)では千草貴子役を演じ、その存在を一気に世に知らしめることになる。本作を鑑賞した映画監督のクエンティン・タランティーノが『キル・ビル』(2003年)のGOGO夕張役に栗山を起用するなど、映画界に強いインパクトを残したのだ。 テレビドラマでは『ATARU』(TBS系)や『アルジャーノンに花束を』(TBS系)などで活躍。『晩酌の流儀』(テレビ東京系)の伊澤美幸役、『けむたい姉とずるい妹』(テレビ東京系)の東郷じゅん役など、様々なドラマで主演を務めてきた。切れ長の瞳と美しいロングヘアが印象的で、アイコニックなキャラクターに抜擢されることの多い栗山。映画・ドラマに限らずゲームにも出演するなど、栗山がまとう独特の雰囲気は現実離れした世界でも広く愛される。 第3話では、過去に火傷を負ったというエピソードも明かされ、ますますその背景が気になるキャラクターでもある松島の局。今後の展開では松島の局の生い立ちや背負うものが、さらに明かされるのだろうか。そして家治の側室のお知保(森川葵)が身ごもったことで、松島の局は更なる力を持つことが予想される。まだまだ松島の局の暗躍からは目が離せない。
Nana Numoto