バイクにセミオートマ化が進む。ヤマハ「MT-09 Y-AMT」試乗と、ホンダE-クラッチとの違い
しかも、思わぬ効果も実感。例えば、コーナリング中のステップワークだ。通常のMT車の場合、筆者は、バイクの旋回中につま先をイン側のステップへ載せる。フルバンク時に、つま先が路面に当たらないようにするためだ。とくに左コーナーでは、減速区間でシフトダウンのペダル操作を完了したあと、左足を一瞬上げてつま先立ちにするといった動きをする。 一方、MT-09 Y-AMTは、シフトペダル操作が不要なため、早い段階でつま先立ちの姿勢を取れる。そのため、ステップ荷重などがよりスムーズにできるといったメリットも感じられた。もちろん、このあたりは、好みや乗り方の問題もあるので、シフトペダルの有無について、一概に善し悪しはいえない。だが、少なくとも筆者は、MT-09 Y-AMTに乗ってすぐのときよりも、ある程度慣れたときのほうが、乗りやすさなどのイメージがアップしたことは間違いない。
■極低速のターンでの便利さ MT-09 Y-AMTは、細い路地などで、5km/h以下の極低速でUターンするときなども、かなりスムーズだった。とくに一般的なMT車では、極低速の走行は、繊細な半クラッチやアクセルの操作を行わないと、エンストして立ちゴケする可能性もある。バイク初心者などには苦手な人も多いだろう。 一方、クラッチレバーの操作自体がないMT-09 Y-AMTは、かなりゆっくりとした低速走行時でも、車体がギクシャクしづらいし、エンストの心配もない。とくにATモードにすれば、シフトチェンジもバイクが行ってくれるため、ライダーはアクセルとブレーキの操作のみに集中できる。ほぼ止まる寸前のような低い速度でも車体がギクシャクしなかったのは、エントリーユーザーなどにはありがたいといえるだろう。
以上がMT-09 Y-AMTに乗ってみた主な印象だ。前述のとおり、Y-AMTに近い最新システムには、ホンダE-クラッチもあり、それを搭載したCBR650R/CB650Rの2024年モデルが6月より発売中だ。筆者は、これらモデルにも試乗した経験があるので、ヤマハのMT-09 Y-AMTと比較した乗り味も紹介する。 まず、仕組みや操作方法の違い。ホンダE-クラッチは、クラッチレバーやシフトペダルを備えつつ、操作を自動化した新機構だ。発進、変速、停止などでクラッチレバーの操作は一切不要。ただし、変速操作にシフトペダルを使うことは、従来のバイクと同様となる。
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