立て直しへ“攻めの投資” ペッパーフードサービス社長の秘策は“1人すき焼き”!?【WBS】
ステーキチェーンの「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービス。一瀬健作社長はテレビ東京のインタビューで、新業態の出店を計画していることを明らかにしました。 「新業態はカウンターを主体に国産牛と和牛を中心とした『1人すき焼き』の店を考えている」(一瀬社長) コンセプトは1人で食べるすき焼きだといいます。およそ2カ月後のオープンを前に、店舗のイメージ画像を見せてもらいました。
和を感じさせる落ち着いた雰囲気の店内。ご飯を炊くための釜。その奥には松の木も。そしてカウンターテーブルがぐるりと囲みます。 「すき焼きを客の目の前で調理して、簡単にさっと食べられるような、日常的に食べられるすき焼きの提案を目指している」(一瀬社長) 「なぜすき焼きなのでしょうか」(相内優香キャスター) 「いきなりステーキは海外の輸入肉を中心に使っているが、日本は国産牛や和牛という素晴らしい牛肉を持っている中で、ご飯と食べてほしいというコンセプトから、すき焼きが一番日本人の舌に合うのではないかと思った」(一瀬社長) 店員が客の目の前で焼いて提供するスタイルで、国産牛や和牛を使う分、客単価はいきなりステーキの約2000円よりも少し高めの2500~3000円に設定しました。 新業態のすき焼き店の1号店は東京・港区の新橋に出店し、しばらくは1店舗だけで運営するといいます。その背景には苦い経験がありました。 「『いきなり!ステーキ』で業績不振を招いた反省はありますか?」(相内キャスター) 「やはり数。出店数を求めるのか、満足のいくサービスと商品を提供するのか。そこにギャップがあったのかなと思う」(一瀬社長)
5年連続赤字で戦略転換も
2013年に登場した「いきなり!ステーキ」は、立ち食いという新たなスタイルが話題を呼び、ペッパーフードサービスの業績の牽引役となりました。一瀬社長の父であり、創業者でもある一瀬邦夫氏は当時取材に対し「安くておいしいステーキを食べる習慣は日本にはなかった。文化になっていくのでは」と話しました。 2017年にはニューヨークに「いきなり!ステーキ」海外1号店を開業。その翌年には日本の外食チェーンとして初めてナスダックに上場しました。積極出店の勢いは止まらず、国内の店舗数は一時500店舗近くに上りました。ただ、その結果、店同士で客を奪い合う事態となり、業績が傾き始めてしまったのです。 2019年12月期には営業赤字に転落。その後、5年連続で営業赤字を計上しました。その経営を立て直すため、出店計画を見直し。足元では170店舗程度にまで減らすなど、戦略の転換を図りました。2024年12月期は6年ぶりに営業黒字に転じる見込みとなったのです。 赤字を計上し続けた当時、財務の責任者を務めていた一瀬社長。父と子だからこその思いも。 「親子だけどビジネスパートナーでもある。つらいところも実際あったのでは?」(相内キャスター) 「何をもって経営を重要視していくか意見をぶつけ合った。他の人が言えないことを代表して言わなければいけない思いがあった」(一瀬社長) その後、父から子へ受け継がれた社長のバトン。一瀬社長は1人すき焼きをはじめ、新業態を複数展開し、経営改善の起爆剤にしたい考えです。 「500店舗を超える『いきなり!ステーキ』のようなチェーン展開というより、20店、30店、50店程度の何かに特化した、おいしいものは前提として、時代のニーズに合わせた業態を開発していくのは、今後も継続的に行っていく」(一瀬社長) ※ワールドビジネスサテライト