落ち着いて「琴桜」1勝目 熱海富士の当たりをどっしり受け止め土俵にはわす
○琴桜(肩透かし)●熱海富士(夏場所2日目=13日) 勝負は一瞬で付いた。琴桜は一度、突っかけた後の2度目の立ち合い。熱海富士の当たりをどっしり受け止め、相手が前のめりになったところを肩透かしで土俵にはわせた。 「体が動きました。落ち着いていたんじゃないですか」 記念すべき1勝目だ。今場所から横綱だった祖父のしこ名「琴桜」に改名し、初めての勝ち名乗り。大関自身は「別に変わんないっすよ」と、そっけなかったが、これでまた一つ新たな呼び名になじんでいくはずだ。 父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)によると、前夜、敗れて部屋に帰ってきた琴桜に「偉大な名前をもらって緊張したんじゃないか?」と聞くと、「はい」という答えが返ってきたという。 親方は、こう考えている。「本人は『しこ名は関係ない』と思いたいでしょうけど、やはり『琴桜』を自分の名前にしないと力も出てこない。だから私もできるだけ『さくら』と呼ぶようにしています」 のしかかって来るのはしこ名への注目だけではない。初日から1横綱4大関が総崩れとなり、2日目には照ノ富士と貴景勝が早々に休場を決めた。看板力士の大関として、より結果が求められる状況だ。 「人がどうこうでなく、自分自身のやるべきことをやるだけ」と琴桜。集中力を研ぎ澄まし、責任を果たしていく。(宝田将志)