<映画評>社会派問題を痛快に描く『闇金ウシジマくん Part2』
累計800万部突破の真鍋昌平の原作コミックを実写化した「闇金ウシジマくん」の第二弾。深夜ドラマ(ドラマでもSeason2を放送)から映画、そして今回の第二弾になるが、「続編」だからといって事前にストーリーを確認するなどの準備が必要なし。明快なストーリー展開となっているため、“丸腰”で劇場に訪れても存分に楽しむことができるだろう。登場人物はとにかく多い。それでも、個性派ぞろいで、分かりにくさを感じさせない。主役の山田孝之は、相変わらず圧巻の存在感、その脇を固める俳優陣は綾野剛、菅田将暉、中尾明慶など。重く深い社会の裏側を痛快に描いている。 山田孝之演じる丑嶋(ウシジマ)が経営する闇金『カウカウファイナンス』は、10日で5割という暴利をむさぼる金貸業。普通にお金を工面できない“訳あり”な人たちが、毎日のように詰めかけてくる。まず、『闇金』というだけで想像つくように、扱っている話題が、社会の闇の部分だ。借金、ホストクラブ、風俗などなど。シリアスに表現すれば、目を背けたくなるような話が次から次に展開されていくが、そこは本シリーズのいいところで、どこか安心感があり、楽しく観ることができる。 今回のストーリーは、無職のヤンキー、マサル(菅田将暉)が、暴走族ヘッドの愛沢(中尾明慶)のバイクに手を出したことから、大きな動きを見せる。それと平行して、No.1ホストを目指すレイ(窪田正孝)に全てを捧げる少女・彩香(門脇麦)の関係が丑嶋たちと複雑に絡み合っていく。レイと彩香との関係は、ストーリーの伏線ながら、切なさと緊張感を漂わせてくれている。 本来なら、重い話が次々に展開される。それでも見終わった後、すっきりした気分になれるのは、この作品ならではの表現力だろう。 『闇金ウシジマくん Part2』 公開:5月16日(金)全国ロードショー (C)2014真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん2」製作員会