古新聞にも大事な役割…不易の手法に流行取り入れ、伝統行事の矢旗を新調 高城町太鼓踊り保存会 薩摩川内市
鹿児島県薩摩川内市の高来地区に伝わる「高城町太鼓踊り」の保存会は、60年以上使ってきた踊り手が背負う矢旗を手作りで新調している。作り方の参考にしようと現在の矢旗を解体すると、65年ほど前の新聞も出てきて、会員らは歴史を実感した。完成した16本は9月の奉納で披露する。 【写真】古い矢旗に使われていた昭和30年代の新聞に見入る松下四男さん=薩摩川内市の高来地区コミュニティセンター
保存会によると太鼓踊りは1606年、領主をしのんで高城神社を創建した際に奉納したのが始まり。第2次世界大戦前後に一時途絶えたが、1959(昭和34)年に有志が保存会を立ち上げ継承してきた。当時作った矢旗を補修して使ってきたが、寄付などで資金が確保でき、新調を決めた。 古い矢旗を解体すると、肩当ての部分にクッション材として新聞が使われていた。何重にも巻かれた60(昭和35)年の南日本新聞のほか、鹿児島新報などもあった。一部は色が変わっていたが、記事が読めるほど状態の良いものもあった。 新しい矢旗は、昔に比べて若者の体格が大きくなったことを考慮して大きさを決定。竹の代わりに市販のパイプを使い、華やかな飾りにはキジや薩摩鶏の羽を使った。歴史をつなごうと、肩当てには出てきた古新聞を再利用したほか、最近の新聞も巻き付けた。 6月に始まった作業は7月末まで続く。保存会の松下四男会長(63)は「会員の職業などを生かして作っている。新しい矢旗は華やかさが違うはず」と期待した。
南日本新聞 | 鹿児島