屋久島でEV「e-tron」快走 アウディ ジャパンが持続可能性キャラバン
電気自動車(EV)のトップランナーを目指すアウディは、環境づくりにも熱心だ。一方でEVの理解を深めるための啓もう活動に取り組む。そのユニークな活動に、モビリティーの未来を見た。 【写真はこちら】屋久島の自然とアウディ「e-tron」、キャラバンで学生とも交流 日本でのEV普及に弾みをつけようと、アウディ ジャパンが「持続可能性」をテーマにユニークなPRキャラバンを展開している。鹿児島県屋久島が日本初の世界自然遺産に登録されてから30周年を迎えた2023年7月には、同社のEV「e-tron」十数台が島内を駆け巡り、再生可能エネルギー拠点の視察会や学生らを交えたセッションを開いた。都市部に加え地方からも積極的にEVの優位性を訴えていく。 屋久島は年間8000~1万mmの雨量に恵まれ、島内のほぼすべての電気を水力でまかなう「脱炭素に一番近い島」といわれる。2023年のキャラバンではヤクスギランドで樹齢数百年の巨樹に触れた後、安房川第2発電所の仕組みを観察。屋久島高校の生徒や町役場の職員らと持続可能性をテーマに議論を交わした。
自然と人々の暮らしが共存する循環型社会から気づきを得ようと、アウディ ジャパンは2022年から「Audi Sustainable Future Tour」と銘打つPR活動を実施してきた。これまでにバイオマス発電の岡山県真庭市や地熱発電の岩手県八幡平市など再生可能エネルギーの先進地域をe-tronで訪れ、地元ディーラーや学生、メディア関係者らを現場に招いた。ブランドディレクターのマティアス・シェーパースさんは「持続可能な未来をともに考える仲間作りが狙い」と話す。2024年は各地でev未体験層がe-tronに触れる機会をもうけ、急速充電器を複数備えた「アウディ チャージングハブ」をEU圏外では初めて都市部に整備する計画だ。 世界のエネルギー事情の不安定化でEV市場は踊り場を迎えつつあるともいわれるが、シェーパースさんは電動化はさらに進むと強気だ。2023年、アウディ ジャパンの国内販売に占めるEV比率は12%と、前の年の約3倍に増えた。「アウディは日本でEVのプレミアムブランドNo.1を目指す」と意気込む。日本では多くの自治体が再生可能エネルギーの地産地消に取り組んでおり、EV普及のポテンシャルは大いにありそうだ。 文:THE NIKKEI MAGAZINE 編集長 松本和佳 [THE NIKKEI MAGAZINE 2024年3月17日号の記事を再構成]