青森山田が劇的勝利で日本一に輝く!広島ユースに先制を許するも、土壇場の2得点で逆転!
高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2023 ファイナルが12月10日に行われ、EAST王者の青森山田(青森山田)とWEST王者のサンフレッチェ広島F.Cユース(広島)が対戦。2-1で青森山田が勝利した。 【フォトギャラリー】青森山田 vs サンフレッチェ広島F.Cユース 立ち上がりに攻勢に出たのは青森山田だ。出足の鋭いチェイシングで球際の攻防をことごとく制し、ボール奪取後は素早いカウンターで敵陣に侵入。サイドを攻略すればCKを獲得し、セットプレーでも相手ゴールを脅かした。 対する広島ユースは15分頃から青森山田のプレッシングに慣れてきた印象だった。以降は個々の巧みな位置取りと流麗なパスワークで相手をいなす。そのなかで面白かったのは可変システムで、守備時は4-2-3-1で構えるが、攻めに転じると3-4-2-1にシフト。ボランチのMF14竹山心(3年)が3バックの中央に下がり、右SBのDF6石原未蘭(3年)と左SBのMF15橋本日向(2年)が中盤に入るポジションチェンジは、実にスムーズだった。 広島ユースの可変システムが機能し始めてからは、プレスの狙いどころを絞りにくくなった青森山田が守備ブロックを構えるようになる。ただ、押し込まれても最終ラインが大崩れせず、ロングカウンターで形成を逆転させ、ロングスローで相手ゴールに迫る力強さはさすがだ。 一方の広島ユースは31分にチャンスを掴む。FW10中川育(3年)が左サイドを抜け出し、ドリブルで中へ切り込む。左斜め45度からカーブをかけたシュートを狙ったが、惜しくもゴール右へ外れた。 後半に入ってもポゼッションでゲームの主導権を握った広島ユースが、最終ラインから丁寧に攻撃を組み立て、横パスと縦パスを的確に使い分けながら敵の守備網にズレを生み出す。すると49分、中盤に穴を見つけたMF8中島洋太朗(2年)がクサビのボールを引き出し、鋭いターンから左サイドへスルーパスを供給。抜け出したFW中川が打ったシュートは相手GKに弾かれたが、MF7鳥井禅音(3年)がセカンドボールをつなぎ、最後はゴール前でFW19井上愛簾(2年)が押し込んだ。 先制点を奪った広島ユースは勢いが増し、攻撃では左サイドでFW中川が果敢に仕掛ければ、守備ではキャプテンのDF石原が1対1のディフェンスで青森山田のアタッカー陣を封殺。洗練された戦術で試合の流れを引き寄せた好影響により、個々のパフォーマンスレベルが上向いた。 1点ビハインドの青森山田は、58分にFW9津島巧(3年)、74分にMF16後藤礼智(3年)を投入。積極的に交代カードを切って反撃を試みたが、攻略策を見出せない。攻撃では崩しの糸口を探っている様子で、守備ではプレスがハマっていないシーンも散見された。 それでも青森山田は、広島ユースの足が止まり始めた終盤に攻勢を強め、190センチのDF5小泉佳絃(3年)を最前線に上げてパワープレーに出る。そして82分、そのDF小泉がチャンスを掴んだものの、シュートは枠外に外れた。直後の84分にMF10芝田玲(3年)が打ったヘッドは、クロスバー直撃で得点とはならなかった。 最後まで諦めない青森山田のパワフルなアタックは凄まじく、90分に執念が実を結ぶ。左サイドのDF小沼 蒼珠のロングスローから相手のオウンゴールを誘発して同点弾を奪うと、さらに後半アディショナルタイムにはFW津島が逆転ゴールを決めたのだ。 劇的な展開で勝利を掴み取った青森山田の正木昌宣監督は、ゲームを次のように振り返った。 「サンフレッチェ広島さんは、個々のスキル、チームとしても本当に力があって、かなり苦しいゲームでしたけど、我慢していれば良いことがある。失点したあとも決して諦めることなく、頑張ってくれた選手たちの逞しさと諦めない気持ちに私自身も感謝しています。その結果として優勝できて本当に良かったと思います」 正木監督の言葉通り、土壇場の2ゴールは選手たちの「諦めない気持ち」だろう。青森山田が見せた終盤の気概は、まさしく高校年代で日本一だった。 (文=志水麗鑑 写真=矢島公彦)