IEAに加盟したいインドの今後に向けた思惑
双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦が2月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。パリで開催中のIEA閣僚理事会について解説した。
IEAがインド加盟に向け交渉へ
日本、アメリカ、ヨーロッパを中心とした主な石油消費国でつくる国際エネルギー機関(IEA)の閣僚理事会が2月13日、本部のあるパリで開幕し、非加盟国インドの加盟に向けた交渉を正式に開始することで合意する見通し。 飯田)インドはエネルギー需要も伸びゆく一方ですね。 吉崎)IEAは基本的に、経済協力開発機構(OECD)という世界の金持ちクラブの組織ですから、インドはもちろん、中国も入っていません。インドがここに加盟してくるのは面白い動きです。もともとIEAは、エネルギー関係の調査統計をつくる組織なのですが、近年は再生可能エネルギーや脱炭素に関する提言をたくさん出しています。「このくらいやらないと平均気温の上昇は抑えられない」という方針です。それにインドが食いついてくるというのは、インドはインドなりに「きちんと脱炭素に対処してお手本になる」という考えがあるのでしょうか。 飯田)いまはインドも(CO2)排出の多い国の1つですよね。 吉崎)相当、人口が多いですからね。ただ、「うちは中国とは違う路線でいく」ということなのかも知れません。
インドを含めBRICSでアメリカに対抗したい中国とその仲を裂きたい日米欧
飯田)インドは、いままでは非同盟で、どちらかと言うと「自分たちがまずは寄って立つ」というところを見せる国ですよね。 吉崎)我が道を行くというか。中国はインドやロシアを始め、BRICSを集めてアメリカに対抗したいのですが、一方で日米欧は、それほど仲がいいわけではないけれど、それぞれインドと金脈を通じており、できれば中国との仲を裂きたい。中国は「グローバルサウス」という言葉を使いたくないようです。中国の文書でグローバルサウスという言葉が出てくるときは、すべて、かぎかっこがつくのだそうです。 飯田)自分が言っているわけではないと。 吉崎)しかし、インドは「自分がグローバルサウスの盟主だ」と言いたい。いろいろなところで中国とインドの対立がありますが、エネルギー路線に関しても、そんなさや当てがあるのかも知れません。