「遠慮したり諦めたりしないで」 自閉症児に特化した学校の元音楽教師が、日本で音楽教室をオープン
レッスンに集中できなくても…
上野さんの教室で歌やキーボードのレッスンを受けている5歳の山口卓真くんは、興味があることへのこだわりが強く、集中力が続かないという特性があり、レッスン中に動き回ったり寝そべったりすることもあります。上野さんは決して怒ることなく、ときには音楽そっちのけで一緒に楽しみながら遊びます。生徒を共通のカリキュラムに当てはめて指導するのではなく、一人ひとりの反応を見ながらアプローチを変えていきます。使うのは、楽器だけではありません。上野さんにかかれば、フライパンやしゃもじ、米粒を入れたペットボトルなど、家にあるあらゆるものがメロディを奏で、リズムになります。 上野要さん 「親御さんに『うちのなかグチャグチャになるからやめて』って言われたらやめます(笑)」 レッスンでは、まず教える自分自身が楽しむことを大切にしているそうです。 上野要さん 「オレ~、アッハーハー…♪なんかリオのカーニバルっぽくない?(笑)そんな感じですかね。こっちが楽しまないと子供に楽しさは伝わらないので」
卓真くんに現れた変化
得意分野を伸ばしてあげたいと思う祖母に連れられて通い始めた卓真くん。レッスンでは集中する時間とはしゃぐ時間が目まぐるしく入れ替わりますが、家ではさっそく変化が現れているそうです。 山口卓真くんの祖母 高倉眞弓さん 「2回目のレッスンが終わった時だったかな。うちに帰ってきた時にすぐにピアニカにむかって走っていって。ピアノとかそういうものに向かうようになりました。それが一番大きな変化ですね。やればやるだけ成長につながってくれるかなと思って」 記者 Qおけいこはどう? 山口卓真くん 「楽しかったー!」
夫婦の夢「みんなでコンサートを」
上野さん夫婦の夢は、障害のある人もない人も一緒になって、教室の生徒全員でバンドを組み、コンサートを開くこと。夢に向かって、一人ひとりと向き合いながら音楽の楽しさを伝えていきます。 上野要さん 「長い間やってきて、好きだからやってこられたんだろうなと思うし、ああいう子供たちと音楽を通して一緒にいるということが好きなのかなって思いますね」