減収続く都は大反論──国・自治体間で火花、地方消費税配分基準見直し議論
2018年度の税制改正に向けて、自民党税制調査会では活発な議論が続いています。現在、火を使わない加熱式たばこを含めてたばこ税の引き上げや森林を保全するための森林環境税の創設などが検討されています。 小池都知事が定例会見11月24日(全文1)豊洲市場移転と開場は30年10月中旬 増税や新たな税目の創設は、国民により重い負担となるため耳目を集めやすい話題です。しかし、税制の議論はそうした国民負担の軽重に関わる内容ばかりではありません。現在、8%の税率が課されている消費税は、10%に引き上げられるタイミングが2019年10月に延期されました。 2018年4月に消費税率が変更されないため、私たち納税者の負担に変わりません。それにも関わらず、消費税を巡って、政府・財務省・総務省、そして47都道府県が水面下で激しい火花を散らしているのです。 消費税制を巡って、激しいバトルが繰り広げられている理由は何でしょうか?
現行消費税8%のうち、6.3%が国に、1.7%が地方に配分
11月24日、小池百合子東京都知事は定例会見で、東京パラリンピックの開幕1000日前カウントダウン式典の概要や築地市場の豊洲移転問題について言及しました。そうした発表と並び、消費税制を巡る都の反論が発表されています。 現行8%の税率が課されている消費税は、そのすべてが国税分として徴収されているわけではありません。8%のうち6.3%が国に、1.7%は地方に配分されることになっています。この地方に配分される1.7%部分は地方消費税と呼ばれる部分です。 1997(平成9)年に消費税率が5%に引き上げられる際、4%を国の財源、1%を地方の財源とするべく地方消費税が創設されました。2014年度の地方消費税額は約3兆1000億円あり、これを47都道府県で分配しています。 その分配の基準になっているのが、商業統計・経済センサスといった消費指標と人口・従業員数といった消費代替指標の2つです。地方消費税が、こうした複雑な仕組みになっているのには理由があります。 地方消費税を負担しているのは消費者ですが、その消費税を納税するのは事業者です。今般、生産現場である工場と消費の現場である販売所が異なる都道府県に立地していることは珍しくありません。 また、全国でチェーン展開している小売店の多くは、別の都道府県のメーカーから仕入れをしています。つまり課税地と最終消費地が異なることで、消費した自治体にきちんと納税されないことになってしまうのです。 さらに、昨今は都心部までショッピングに出かけるということも珍しくありません。例えば、埼玉県や千葉県、神奈川県に住む人たちは東京まで買い物に出かけることは日常的です。つまり税負担をしている消費者と、実際に納税をしている事業者の都道府県が異なるのです。