鈴鹿央士の魅力炸裂!"主成分優しさ"を見事に表現したドラマ「silent」
その可愛らしいルックス、温かい笑顔、優しい声。俳優・鈴鹿央士の魅力が遺憾なく詰まっていたのがドラマ「silent」だ。 【写真を見る】鈴鹿央士の魅力が炸裂したドラマ「silent」 2022年に放送された「silent」まで、鈴鹿はいくつかの話題作に出演。2021年4月には「ドラゴン桜 第2シリーズ」、2022年7月には「六本木クラス」に主要キャストの一人として登場した。 「ドラゴン桜」では、嫌味な優等生キャラクターである藤井遼役、そして「六本木クラス」では平手友梨奈演じる麻宮葵に健気に思いを寄せる長屋龍二役を演じた。一言で言えば、どちらも報われないキャラクターで、一視聴者としては同情心を強く抱いてしまった記憶がある。 だが、「silent」では鈴鹿演じる戸川湊斗に様々な感情を持つこととなった。 ■「主成分優しさ」を好演 「silent」は川口春奈演じる青羽紬と、目黒蓮演じる佐倉想によるラブストーリー。2人は高校時代に付き合っていたが、ある日を境に想が一方的に別れを告げる。それから8年が経過し、2人は駅で偶然顔を合わせる。しかし、紬の声は届かず、想は「若年発症型両側性感音難聴」を患っていたというストーリーだ。 音のない世界を丁寧に描き、手話や舞台となった世田谷代田駅なども注目を集め、社会現象となった同作品。このドラマで鈴鹿が演じたのが戸川湊斗。紬と想が再会した時の紬の彼氏だ。 湊斗は紬の幼馴染で、想と同じサッカー部。相関図だけ見ていると、三角関係の"当て馬"と認識してしまうかもしれない。しかし、ドラマを見ていたら、湊斗を当て馬と表現することなど決してできない。 湊斗はドラマ内で「主成分、優しさ」と称されるほどの好青年だ。紬が最も辛い時に寄り添い、おすすめの動画を教え、彼女が常に求めているものをよくわかっている。紬にとってだけではなく、世の女性にとって理想の彼氏と言えるだろう。 しかし、湊斗は親友である想、大好きな人である紬のことを思うからこそ自分から別れを告げる。「好きな人がいるから」と湊斗が紬に伝えた言葉には重い意味がある。 全11話のうち4話で湊斗と紬は別れ、"彼氏"としての湊斗は見られなくなってしまうわけだが、それはあまりに惜しいと感じてしまうほどに鈴鹿の湊斗は魅力的だった。 甘いルックスやスタイルの良さなど外見的な魅力は言うに及ばないが、本質は内面だ。"人のために優しさ全力で使っちゃって、自分の分残すの忘れちゃう"湊斗と、常に柔らかい口調と優しい声を隣で届けてくれる鈴鹿は完璧にマッチする。高身長の鈴鹿は川口を完全に見下ろすことになるのだが、その視線さえも温かく、「常に彼女をこうやって見守ってきたんだな」という時間をも我々視聴者に感じさせてくれる。 紬の親友は湊斗といる時の彼女を「ぽわぽわ」と表現した。女性を「キラキラ」輝かせるのではなく、穏やかな気持ちにさせる。それこそが鈴鹿演じる湊斗を最も端的に表した言葉で、彼の魅力を説明するのに最適かもしれない。 ■"かわいそう"ではない 「silent」以降も「いちばんすきな花」や現在放送中の「海のはじまり」で繊細に心の機微を描く脚本家の生方美久さん。今やドラマ界を代表する脚本家の一人に言及するのもおこがましいが、湊斗を悪者に見せない脚本もやはり見事だった。1話から湊斗に感情移入させる構成となっており、恋敵と呼べる存在でありながら、湊斗を応援し涙してしまった人も多いだろう。三角関係でありながら、全員がいい人という構図はある種新しく、だからこそ見ていると複雑な感情を持ってしまう。 もっとも、紬と別れた後の湊斗は、想と紬の最大の理解者として存在感を強めていくこととなる。「また青羽に何も伝えないで勝手にいなくなるとかは、絶対許さないから」と想に伝えた言葉には2人への思いが詰まっている。喜怒哀楽で言えば「怒」をもって発した言葉だが、鈴鹿という人間を通すとそこからは思いやりと優しさが十二分に伝わってくる。 親友から彼女を"譲り受け"、その親友の再登場により別れを自ら切り出した湊斗はかわいそうだろうか。「周りは勝手なこと言うけど、俺は良かったんだよね。かわいそうって、他人だから言えちゃうんだよ」、「今幸せじゃないって、決めつけるな」というのは湊斗自身の言葉だ。勝手に他人の感情を決めつけるのは一番の誤りだろう。 ただ、鈴鹿にはどこかでただ笑っていてほしいと願っていたのは私だけではないだろう。幸い、鈴鹿は「silent」でのブレイク以降、数多くのドラマ・映画に出演。目尻を下げて優しく微笑む姿は健在で、彼の活躍を今後も見届けていきたい。 文=まっつ
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