日本一安い遊園地・群馬るなぱあく 武器は昭和のおじちゃん、おばちゃんの親しみやすさ
「前橋市中央児童遊園るなぱあく」では、園長・原澤宏治さんが持ち前のアイデアと行動力で、ユニークな企画を次々と実現。入園者減少に歯止めをかけ、人気遊園地へと復活させます。もうひとつ、重要な課題として取り組んだのは、従業員の働き方や働く環境の改善でした。
【原澤宏治 るなぱあく園長】 1967年生まれ。 東和銀行で法人渉外担当を経て、2002年に経営コンサルタントとして独立。 2015年に前橋市が運営する児童遊園「るなぱあく」の園長に就任。 赤字続きだったるなぱあくを斬新なアイデアで経営改革し利用者数が激増、黒字化に成功させる。
10円、50円ののりもの料で黒字化する
日本一安い遊園地として知名度を上げた「るなぱあく」ですが、そもそも乗り物が1回10円、50円という値段設定は以前のままなのです。 るなぱあくは前橋市の施設ですから値上げには条例の改正が必要です。しかし、複雑な手続きと調整が必要な条例改正に、前橋市側は消極的でした。 税収をつぎ込むだけの赤字体質から抜け出す施策がないまま、市の直営から民間委託へ。いくつかの指定業者を経て、2015年にオリエンタル群馬が運営するようになって、初めて経営体質の改善に動き出すことになります。
原澤「コロナ禍前では運営資金は、前橋市「3」:オリエンタル群馬「7」くらいの割合で負担。オリエンタル群馬が10円、50円の遊具から売り上げを積み上げ、それで足りない分を指定管理料で補っているというイメージですね。市の予算は決まっているので、黒字化して収益を上げるには、どうしてもオリエンタル群馬が経営を工夫していくしかないんです」
10円、50円というのりもの料には消費税も含まれます。黒字化への道は、まさに爪に火をともすようなものでした。 一方で、遊具の老朽化も課題です。 原澤「るなぱあくの遊具はどれも20年選手の年代ものばかり。市に相談しても、予算がないからメンテナンスでどうにかしてほしいと言われてしまう。オリエンタル群馬が運営するようになってから、遊具の部品はすべて新品に取り替えましたが、すでに部品自体が廃番になっていて、もし壊れたら特注するしかないというものもあります」