教員給与の改善は働き方改革、残業短縮条件 財務省案、文科省との隔たり大きく
財務省は11日、公立学校教員の給与に残業代の代わりに上乗せ支給している「教職調整額」について、残業時間抑制などを条件に、現在の月給4%相当から5年程度で段階的に10%に引き上げる案を示した。文部科学省は令和7年度予算概算要求で月給13%への引き上げを主張している。年末の予算編成に向け、両省の調整が本格化する。 【表でみる】教員確保の実現へ危機感 国や自治体の努力不可欠 中教審が給与アップを答申 給与調整額が議論される背景には、教職員のなり手不足がある。解消に向け、両省が重視するポイントには隔たりがある。文科省は給与面での待遇改善を主張するが、財源を明示できず「教員の定額働かせ放題」とも指摘される。一方、財務省は働き方改革を進めることで教職現場の魅力向上を目指す方針だ。 財務省案は、授業以外の勤務時間の抜本的な縮減▽勤務時間管理の徹底▽デジタル化による業務縮減▽長期休暇が取得できる環境整備-などを通じて、残業時間抑制の進捗が確認できた場合に限って、教職調整額を段階的に引き上げる。未達成時は原因を検証し、外部人材の配置など他の有効な手段に財源を振り向けるとしている。 残業時間が月20時間まで減った段階で、教職調整額が月給の10%となる想定。それが実現する見込みの12年度以降には、教職調整額を廃止し、時間外勤務手当(残業代)を支払う制度への切り替えも検討する。財務省は文科省の要求通りでは、国と地方で年5600億円の財源が必要と指摘。実効性ある働き方改革にもならないと訴えた。 財務省は11日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の部会で農林水産関連予算に関しても議論。平成13年に当時の国内の食用米の需要量912万トンに対して5年間で100万トン程度とされた備蓄米について、足元の需要量は700万トン程度となっており、備蓄量の見直しの検討が必要と指摘した。(永田岳彦)