[山口県]ANAクラウンプラザホテル宇部営業終了 40年の歴史に幕
宇部市相生町のANAクラウンプラザホテル宇部が31日、営業を終えた。宇部初の本格的な都市型ホテルとして開業以来、約40年にわたり同市の迎賓的な役割を担ってきた。3月はほぼ満室になるなど多くの利用客らに惜しまれながら幕を閉じた。 【写真】ANAクラウンプラザホテル宇部の営業終了後、桜田隆社長(手前)のあいさつに耳を傾ける従業員ら=31日、宇部市相生町 最終日は宿泊客のチェックアウトを受け付けた後、レストラン「サルビア」と日本料理店「雲海」のランチ営業が最後の業務に。ホテルを運営するユービーイーホテルズの桜田隆社長と久保政明総支配人が出入り口に立ち、食事を終えた利用客たちに深々とお辞儀をしながら見送り、午後2時半をもって全ての営業を終えた。 家族3人でランチに訪れた同市の男性(52)は「最後に予約が取れると思っていなかったので良い思い出になった。私が子どもの頃にオープンして、何度も利用してきたホテルなので、やはり最後となると寂しい」と話した。 営業終了後、桜田社長が1階ロビーに集まった従業員約70人に感謝の気持ちを伝えた。「お客さまから人生の節々でさまざまな思い出ができたと、お礼の言葉をたくさん頂戴した。皆さんの心温まるおもてなしが届いていた」と語った。従業員らは互いに「お世話になりました」「お元気で」などとねぎらい、別れを惜しんで涙ぐむ人もいた。 桜田社長は報道陣に「長きにわたりご愛顧たまわった全てのお客さまにお礼申し上げる。地域を代表する格式あるホテルがなくなる寂しさを実感している。早く後継の運営会社が決まり、再開できることを一市民として願っている」と話した。 同ホテルは、1983年に「宇部全日空ホテル」として開業し、2011年に改称。部屋数140室、大宴会場「国際会議場」を備えるなどコンベンション施設としての機能も担った。新型コロナウイルスによる業績悪化や老朽化の影響などで営業終了が決まった。 同市に本社を置く総合化学メーカーUBEの完全子会社であるユービーイーホテルズは4月中に解散予定。同ホテルが入る建物や土地は、広島市の総合不動産管理業「みどりホールディングス(HD)」が取得しており、ホテル運営の実績のある事業者と交渉を進めているが、再開時期は未定という。 宇部市の篠崎圭二市長は3月27日の定例会見で「みどりHDと緊密に情報の連携、協力を行っていく」とした上で、コンベンション開催誘致の助成金を県内トップレベルまで充実させる考えを示し、「広く情報発信して市内の宿泊やコンベンション誘致を促進していく」と述べた。