【ふくしま産業賞】若者の活動支えたい(2月17日)
「第9回ふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)」の学生部門入賞校は、地元の「食」を生かした取り組みが特徴として挙げられる。企業や団体の協力を得て実証事業や商品開発に臨んだ学校も多い。9日の表彰式後の交流会で、生徒らは互いの活動に触れ、刺激を受けたようだ。出会いと気付きは飛躍の大きな力になる。県内産業をもり立てる人材に成長するよう支援の輪を広げたい。 会津農林、福島明成、須賀川創英館、小野、あさか開成の各高校はコメ、リンゴ、蜂蜜、みそなどをテーマに活動した。須賀川創英館が須賀川市で採れた蜂蜜で作ったケーキは、市のふるさと納税の返礼品に採用された。このほか、環境に配慮しながらコメの生産量を増やす方法を探ったり、特産品で6次化商品を開発したりした。いずれも学校が立地する地域の産業に目を向け、付加価値を高める取り組みに主体的に関わろうとする意欲が見て取れる。 交流会では、工夫した点や苦労した経験などを紹介し合った。学校は違っても、同じ目標を持つ生徒同士が意見を交わし、共鳴し合うつながりは、将来の地域づくりの仲間を広げる上でも意義深い。
体験から得た「産業づくり」への興味の芽をどう育てていくかは、社会の大切な役割と言える。農業、商業、工業、家庭科などで学ぶ生徒が意見交換や成果を発表する機会を設け、関連する企業や団体を招いて交流するような取り組みは効果的だろう。 ふくしま産業賞は福島民報社の主催、県などの共催で2015(平成27)年度に始まった。県内の企業・団体の優れた取り組みを顕彰し、福島の技やものづくりの精神を盛り上げ、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興と地域創生につなげる狙いがある。高校生らにとって受賞者は手本にもなる。積極的に助言や支援を求められる環境をつくっていきたい。企業側は寄り添い、若々しい発想を伸ばしてほしい。 第1回からの応募数は延べ千件を超える。2024(令和6)年度は10回の節目を迎える。新たな事業や地域を元気にする活動に取り組む若者や企業、団体を広く伝え、産業とともに人づくり、地域づくりを一段と後押ししていきたい。(古川雄二)