【独自】政府 トヨタの生成AI開発を支援へ
経済産業省が、トヨタ自動車の100%子会社「ウーブン・バイ・トヨタ」が目指す独自の生成AI開発を支援する方針を固めたことが、テレビ東京の取材で分かった。 ウーブン・バイ・トヨタは、トヨタが静岡県で手がける自動運転などの実証実験の街「ウーブン・シティ」の建設と開発を担う。ウーブン・シティは2025年に一部の実証実験を開始することを予定していて、自動運転のテストコースの建設を進めるほか、自動車と住宅・インフラ・気象などのデータをつなぐ高度な車載ソフトウェアの開発も急いでいる。 ウーブン・バイ・トヨタは、自動車が都市のリアルタイムな情報を理解するための「マルチモーダル」と呼ばれる大規模な生成AIの基盤モデルを開発する。自動運転には、道路標識や障害物などを瞬時に判断する必要があり、生成AIが言語と映像やセンサーを通じたマルチな情報を理解し、運転指示につなげることを想定している。 ウーブン・バイ・トヨタは、開発に必要なGPU=画像処理半導体の調達の支援を受ける予定。開発した生成AIの基盤モデルは、自社利用することと合わせて、開発ノウハウやソースコードの一部などを公開し、自動運転の普及を促す。 経産省は、今年2月から国産の生成AIの開発を支援する「GENIAC」プロジェクトを開始し、生成AIの開発に必要なGPUの調達費用を補助してきた。これまでに10の企業・団体を採択し、「2サイクル目」にあたる今回は、最大245億円を支援するとして公募した。ウーブン・バイ・トヨタや国内AI開発大手のプリファードネットワークスの子会社などあわせて20の企業・団体が新たに採択される方向だ。経産省関係者によれば、自動運転開発のほか、アニメ産業の業務効率化や創薬開発の加速化など、特定産業向けの生成AI開発の支援を意識したという。背景に、産業界への生成AIの実装を通じて、生産性の向上やイノベーションの促進など、日本全体の産業競争力の向上につなげたい狙いがある。