潜水艦運用のための情報収集か? 中国海軍測量艦の領海侵入の背景は-
防衛省は、中国軍の測量艦が8月31日朝、鹿児島県沖の日本の領海内に一時、侵入したと発表した。中国軍をめぐっては、中国軍機が8月26日に領空侵犯をしたばかりだった。 ◇◇◇◇ 防衛省によると、8月31日午前6時ごろ、中国海軍の測量艦1隻が鹿児島県の口永良部島の南西の日本の領海内に侵入し、約2時間後の午前7時53分ごろ、領海を出て、南に向かった。 海上自衛隊の哨戒機と掃海艇が警戒監視にあたり、測量艦に対して、無線などで航行目的をたずねたり、領海に近づいていることを知らせる呼びかけなどを行ったという。 中国軍の艦艇が日本の領海に侵入するのは、去年9月以来で、今回で13回目。 他国の軍艦にも、一般の船舶と同様に、沿岸国の安全などを害さなければ領海を通過できる「無害通航権」は国際法で認められている。だが、領海内で測量をしていたとすれば、「無害通航にはあたらないとして、国際法違反になりうる」という。 日本政府は外交ルートを通じて、「強い懸念」を中国政府に伝え、抗議した。 ある自衛隊幹部は、今回の領海侵入の目的について、「この海域は、潜水艦が中国から太平洋に抜けるための通り道の1つ」と指摘。現に、中国軍艦の領海侵入が確認された13回のうち、今回を含め11回は同じ口永良部島周辺で起きている。「1年を通じて、潮流や海水温が変化する海域で、地形も複雑。今の時期にも、調査したい狙いがあったのではないか」と話す。 一方で、中国軍をめぐっては、中国軍機が、8月26日に領空侵犯をしたばかり。今回との関連について同じ幹部は「現時点では、わからない」とした上で、「領空侵犯を行った中国軍の情報収集機も、日本側の反応を含めて、広く情報を取っていたのではないか。どちらも、広い意味で、中国軍の東シナ海や南シナ海の情報収集の一環とは捉えられるだろう」 日本周辺での軍事活動をますます活発化させる中国。防衛省は、状況を注視し、警戒監視に万全を期すとしている。