手作り野菜 高速バス→農産物を百貨店へ ブランド化も挑戦 広島県庄原実業高
中山間の農業と経済活性化も探る
【ひろしま】広島県庄原市の県立庄原実業高校は、中山間地域の農業経営を学ぶ中で、農産物輸送手段に貨客混載バスを利用する取り組みを始めた。野菜の物流を手がける「やさいバス」(静岡県)と協力し、高速乗り合いバスで、広島市中区の百貨店に運ぶ。実習などで丹精した農畜産物のブランド化と有利販売を進めながら、中山間地域の農業と経済の活性化を探る。 【画像】実際に販売するブランド卵 同校は、栽培する果実や野菜、切り花、授業で製造する加工品などを校内の農産物直売所「アグリくん」で販売。生徒が直売所を運営して経営を学び、流通学習や対面販売を通して接客対応やコミュニケーション能力の向上につなげている。一方で、新型コロナウイルス禍による集客の低下、ブランド化を進める農畜産物の有利販売などの課題があった。 生産量が限られトラックによる集荷は効率が悪いため、備北交通の高速乗り合いバスに着目。週1回ほどのペースで、JR備後庄原駅(庄原市)の停留所から百貨店に隣接するバスセンターまで運ぶ。 校内で生産する農産物や加工品などをリスト化。百貨店での販売に向けて、店内広告(POP)やシールなどをデザインした。これまでに、農場の資源を循環させる平飼い養鶏のブランド卵や、県の「安心!広島ブランド」特別栽培農産物の認証を取得する米「あきさかり」などを販売した。 生物生産学科3年の田中柊平さん(18)と峠龍希さん(18)は「表示ラベルの作成など大変だったが、こだわりの農産物を有利販売でき魅力的。高齢化が進む地域に波及する取り組みも考えたい」と先を見据える。
日本農業新聞