フランス資産のリスクは長期化へ-選挙の動揺が収まっても
(ブルームバーグ): 7日のフランス国民議会選挙決選投票でどの政党が第一党になっても、この選挙がフランスの株式市場と債券市場にとって波乱の時期の始まりになると、一部の投資家は予想している。
トレーダーはマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党「国民連合(RN)」が下院で絶対多数を占めるという最悪のシナリオは回避されるとの確信を強めている。
しかし、もう一つの選択肢はどの党も過半数を取れず議会が膠着(こうちゃく)状態に陥ることであり、フランス政府は財政赤字の膨張に対処できず、マクロン大統領の企業寄り改革は頓挫するという事態になるのは避けられない。
つまり、市場は今後数カ月間、政治的混乱の後遺症に直面する可能性が高いということだ。フランス株のCAC40指数は、マクロン大統領が先月解散・総選挙を決めて以来、欧州の主要株価指数の中で最悪のパフォーマンスとなっている。債券市場のリスク指標は、最悪期には欧州債務危機以降の最高を記録した。
カイロス・パートナーズのポートフォリオ・マネジャー、アルベルト・トッキオ氏は「市場はまだ非常に慎重で、本当に喜んでいるわけではない。ハングパーラメントが中期的な悩みの種となることを懸念している」と話した。
今週は、極右政権誕生への懸念が和らぎ株価は上昇した。それでも、CAC40は6月9日の総選挙発表前の水準を約3.8%下回っている。ドイツ国債に対するフランス国債のスプレッドはピークの86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)からは低下し70bpを下回ったが、選挙実施が決まる前の50bpは上回っている。
ストラテジストはスプレッドが選挙発表前の水準に戻る可能性は低いとみている。
MFSインベストメント・マネジメントのマネジングディレクター、ブノワ・アン氏は「将来の財政政策の方向性について安心感がない」ことを指摘。フランスの政治・経済の先行きが不透明な間に拙速にリスク評価を引き下げることに対して警鐘を鳴らした。