「UFO見た…」NHK紅白『セーラー服と機関銃』の薬師丸ひろ子がデビュー時に見せた「独特な感性」
第74回NHK紅白歌合戦のテレビ放送70周年特別企画「テレビが届けた名曲たち」で薬師丸ひろ子が「セーラー服と機関銃」を熱唱して透明感のある歌声が健在なところを見せた。 【写真あり】ハワイ・マウイ島火災で思い出す玉置浩二&薬師丸ひろ子結婚式と水前寺清子「豪華ガーデンパーティー」 同曲は‘81年に公開された薬師丸主演の角川映画『セーラー服と機関銃』の主題歌で、映画とともに大ヒット。機関銃を乱射するシーンで言う 「カイ…カン」 のセリフが流行語になるなど、薬師丸を国民的アイドルにした。 薬師丸は14歳で中学1年の時に高倉健主演の角川映画『野性の照明』(‘78年)の長井頼子役のオーディションで優勝して映画デビュー。すい星のように現れてトップアイドルになった。 健さんは、自身が演じる元自衛隊の特殊工作員・味沢が養女として引き取った頼子役を演じた薬師丸の印象を聞かれ、 「あの子が本当の娘だったらバリバリ仕事しちゃうだろうな。月に2本もね」 と語るなど魅了されていた。 ‘80年に相米信二監督の『翔んだカップル』で初主演。翌‘81年に再び相米監督の作品に主演したのが『セーラー服と機関銃』だった。 その後も『探偵物語』(‘83年)、『里見八犬伝』(同年)、『メイン・テーマ』(‘84年)、そして『Wの悲劇』でブルーリボン賞主演女優賞を受賞するなど女優としての地位を確立して活躍し続けている。 ‘81年3月、超能力を秘めたヒロイン役で主演した映画『狙われた学園』(大林宜彦監督)に主演した時に、東京・世田谷区砧の東宝撮影所でインタビューしたことがあった。当時高校2年生で国民的アイドルの薬師丸は周囲が明るくなるオーラがあった。 『翔んだカップル』に続き主演2作目だった。 「『翔んだカップル』はあまりにも自分の身近に起こりそうなことだから、かえってやりにくいことがありました。今回は超能力を持った少女の役で、超能力があるという風に作っちゃって入れるでしょ。かえって日常の生活をやる方が難しいんですよね」 と“演技論”もしっかり語っていたのが印象的だった。そして超能力について 「UFOは見たことある。スプーン曲げが流行っていたころは、私もやってみようと頑張ったり。(笑)その程度なんですけど、直観はあると思う。 人の考えていることがパッと分かっちゃったり。私の年頃って第六感みたいのをすごく感じるのよ」 と独特な感性を見せていた。 ‘80年10月に山口百恵が三浦友和と結婚して引退し、同年4月に『裸足の季節』でデビューした松田聖子と並んで「ポスト百恵」としても注目されていた。 「百恵ちゃんは才能もあって、そのうえすごく努力してあそこまで行った人だし、私はそんなものはないし、比較されるのは恥ずかしいですよ」 と語っていた。 当時は学業中心で、休みの時に仕事をしていた。 「ちゃんと授業受けて、帰りに友達とラーメン食べて、白玉ぜんざいを食べて(笑)。家に帰ってテレビを見て……そんな生活が大事だと思う」(薬師丸) 演技力や歌唱力が優れているだけでなく、そうした自身の生活のルーツを大事にする考え方がその後もトップスターとして活躍を続ける源泉になっていった。 角川文庫と映画のコラボというメディアミックスを成功させ、映画界に旋風を巻き起こした角川映画から生まれたアイドルというバックグラウンドも、山口百恵や松田聖子、中森明菜などのトップアイドルとはまた違った個性と新感覚の感性で薬師丸人気を形成した。 そして『Wの悲劇』(‘84年)でブルーリボン賞主演女優賞などを受賞。「ALWAYS 三丁目の夕日」(‘05年)で第29回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞するなど女優としての地位を確立した。 昨年は紅白で締めくくり、‘24年1月24日には6年ぶりとなるオリジナルニューアルバム「Tree」をリリースする薬師丸のさらなる活躍が期待される――。 文:阪本 良(ライター、元『東京スポーツ新聞社』文化社会部部長) Webマガジン『PlusαToday』を始め、芸能、映画、ハリウッド情報などの記事を執筆。日本映画ペンクラブ会員
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